研究課題/領域番号 |
24650170
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
坪井 昭夫 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20163868)
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研究分担者 |
高橋 弘雄 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20390685)
吉原 誠一 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90360669)
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キーワード | 匂いセンサー / 嗅覚系 / 油センシング / カルシウムイメージング / 必須脂肪酸 |
研究概要 |
動物が油を感じる仕組みに関しては、味覚の油センサーの報告はあるものの、嗅覚による油の受容の研究はこれまで全く行われていなかった。その1つの原因として、従来の行動実験における問題点が挙げられる。匂いの嗜好性を判定する従来の行動実験では、濾紙に匂いをしみ込ませて、マウスに提示し、その反応を見る方法が一般的であった。しかしながら、この方法では、マウスが濾紙の油を舐めてしまうため、油による誘引作用が味覚によるのか、嗅覚によるのかを判別できていなかった。そこで申請者は、これ迄の研究において、小さな穴をあけたチューブに油を入れてマウスに提示するという、味覚の影響を排除した嗅覚のみによる油の匂いの嗜好性検査法を新たに確立した。 本研究では、不飽和長鎖脂肪酸に応答する嗅細胞とセンサー分子に着目し、嗅覚における新規な油センシングの分子機構の解明を目指した。具体的には、(1) 油の匂いに対する反応性の解析と(2) 油の匂いセンサーの解析を行った。まず、(1) 油やその構成要素である脂肪酸やグリセロールに対する嗜好性や識別能の有無を、行動実験を用いてマウスの個体レベルで解析した。その結果、マウスは、植物油に含まれるオレイン酸などの不飽和長鎖脂肪酸、それ自体の匂いに誘引作用を示すことが分かった。また、(2) カルシウムイメージングによる嗅細胞レベルでの匂い応答の解析した。その結果、一部の嗅細胞がサラダ油やオレイン酸に顕著に反応することが分かった。更に、油に対する反応性のある嗅細胞で発現する遺伝子を解析した結果、新規の油センサー分子OOR (oily odorant receptor)を同定したので、現在、その機能解析を行っている。
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