研究課題/領域番号 |
24650171
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
竹尾 ゆかり 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (90624320)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | プルキンエ細胞 / in vivoイメージング / 樹状突起 / 形態形成 / 神経活動 |
研究概要 |
本研究では生後初期に発達するプルキンエ細胞の樹状突起形態をin vivoで経時的に観察するため、子宮内電気穿孔法を用いたマウス小脳プルキンエ細胞への遺伝子導入法を確立した(Nishiyama*, Hayashi* et al., Eur J Neurosci, 2012; *共同筆頭著者)。本手法は、高い細胞種特異性をもって、プルキンエ細胞に複数の遺伝子を非常に効率よく共発現させることができるため、プルキンエ細胞を標的としたあらゆる形態学的あるいは生理学的研究に大いに貢献すると確信している。 また、生後7日目のマウスプルキンエ細胞の数日間にわたるin vivoでイメージングを目指し、現在までに、手術および観察の手法がほぼ確立し、野生型マウスプルキンエ細胞の樹状突起1本化・平面化過程の過程をin vivoで初めて観察できた。本研究のように幼若なマウスにおいて小脳プルキンエ細胞を長期的にin vivoで観察した例はいまだ報告がなく、本研究の成果は、これまでアプローチできなかった、in vivoでの発達期小脳回路形成過程解明につながると期待される。 また、プルキンエ細胞へのシナプス入力に関わる下オリーブ核神経細胞およびバーグマングリアへの子宮内電気穿孔法を用いた遺伝子導入も成功し、これらの細胞およびプルキンエ細胞へ、同時に異なる多様な遺伝子を導入することが可能となりつつある。本手法は、プルキンエ細胞の神経回路をin vivoで標識および機能制御する画期的な方法である。今後これらの遺伝子導入とin vivoイメージング法を組み合わせ、プルキンエ細胞の樹状突起形態形成をシナプス入力あるいは細胞間相互作用が制御するメカニズムを明らかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、本研究目的達成のための遺伝子導入法、およびin vivoイメージングの手法といった、研究遂行に必要な技術がほぼ確立しているため、今後は観察を繰り返し実験結果を積み重ねて行くことで、目的の研究成果が得られると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子導入法およびin vivoイメージング法が樹立できたため、今後はプルキンエ細胞において活動電位発生を抑制することを目的に内向き整流性カリウムチャネル(Kir)を過剰発現させ、樹状突起伸長過程を観察することで、プルキンエ細胞における神経活動と樹状突起形態変化の関連性を明らかにする。 また、顆粒細胞・下オリーブ核神経細胞・バーグマングリアへの遺伝子導入により、プルキンエ細胞樹状突起1本化を制御する神経活動の上流因子を同定するとともに、神経活動の下流で樹状突起形態変化を引き起こす分子メカニズムを、ゴルジ装置による膜輸送制御に着目して検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
効率的な物品調達ができたため生じた平成24年度未使用額もあわせて、次年度の消耗品購入に充てる予定である。消耗品購入費としてはまず、マウス購入費および飼料・床敷などの動物管理費として使用する。また、子宮内電気穿孔法およびin vivoイメージングの手術に用いる器具類・薬品、分子生物学実験試薬などの購入費、レーザー顕微鏡管理費として使用するほか、研究成果発表のための論文投稿、学会参加にかかる費用として使用する。
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