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2013 年度 実績報告書

脊椎動物の発生期に形成される神経回路が担う行動制御:その仕組みと進化

研究課題

研究課題/領域番号 24650178
研究機関愛媛大学

研究代表者

村上 安則  愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (50342861)

キーワード脳・神経 / 発生 / 行動 / 進化 / 遺伝子
研究概要

本研究の目的は、孵化後すぐに行動を示す動物の神経発生の観察、遺伝子発現解析、行動解析、さらに遺伝子の機能阻害実験により、行動を司る神経回路の分子基盤を明らかにすることである。平成25年度にはフグ受精卵に対して神経発生を阻害する薬物(ピレン)を処理すると孵化後の遊泳行動に異常が生じる事が判明し、これに関する論文が受理された(Sugahara et al., 2014)。この研究では、行動異常を示すフグ仔魚では、末梢神経の走行や視神経の中脳への投射に変化は見られないが、中脳視蓋のサイズが特異的に減少していた。このことは、孵化直後の遊泳行動発現に上記の領域が関与していることを示唆している。さらに、どのような神経回路の異常によって遊泳行動が阻害されたのかを明らかにするため、解析が容易なアフリカツメガエルをモデル動物として研究を進めた。その結果、神経ガイド分子であるslit2とRobo2のモルフォリノ処理によって初期神経回路の一つである後交連を校正する神経の束がきちんとした神経束を形成していないことが判明した。さらに、モルフォリノ処理した個体を遊泳行動が観察できる時期まで発生させ、行動解析を行ったところ、その遊泳面積が正常個体と比較して有意に低下していることが判明した。このことは、発生初期に形成される基本的神経回路のひとつ後交連が、後に形成される複雑な神経回路や行動に影響を及ぼしており、神経ガイダンス分子の一部がその分子的な基盤となっていることを示唆している(投稿準備中)。さらにヤツメウナギ胚を用いた解析から、Robo遺伝子の発現位置と後交連の位置が対応していることが判明し、上記の分子機構が進化の初期の段階で存在していた可能性が示唆された。これらの研究成果により、本研究の目的である、「脊椎動物の発生期に形成される神経回路が担う行動制御」を達成できたと考えられる。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Pyrene induces a reduction in midbrain size and abnormal swimming behavior in early-hatched pufferfish larvae.2014

    • 著者名/発表者名
      Yuki Sugahara, Masahumi Kawaguchi, Tatsuya Itoyama, Daisuke Kurokawa, Yasuhiko Tosa, Shin-Ichi Kitamura, Itsuki C. Handoh, Kei Nakayama, Yasunori Murakami.
    • 雑誌名

      Mar Pollut Bull.

      巻: in press

    • DOI

      10.1016/j.marpolbul.2014.04.022.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reconstruction of ancestral brains: Exploring the evolutionary process of encephalization in amniotes.2014

    • 著者名/発表者名
      Tadashi Nomura, Yasaunori Murakami, Hiroshi Goto, Katsuhiko Ono.
    • 雑誌名

      Neurosci Res.

      巻: in press

    • DOI

      10.1016/j.neures.2014.03.004.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Toxic effects of 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin on the peripheral nervous system of developing red seabream (Pagrus major)2013

    • 著者名/発表者名
      Midori Iida, Eun-Young Kim, Yasunori Murakami, Yasuhiro Shima, Hisato Iwata.
    • 雑誌名

      Aquatic Toxicology

      巻: 128-129 ページ: 193-202

    • DOI

      10.1016/j.aquatox.2012.12.009.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reptiles: a new model for brain evo-devo research.2013

    • 著者名/発表者名
      Tadashi Nomura, Masahumi Kawaguchi, Katsuhiko Ono, Yasaunori Murakami
    • 雑誌名

      J Exp Zool B Mol Dev Evol.

      巻: 320 ページ: 57-73

    • DOI

      10.1002/jez.b.22484.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evolution of the regionalization and patterning of the vertebrate telencephalon: what can we learn from cyclostomes?2013

    • 著者名/発表者名
      Fumiaki Sugahara, Yasunori Murakami, Noritaka Adachi, Shigeru Kuratani
    • 雑誌名

      Curr Opin Genet Dev.

      巻: 23 ページ: 475-483

    • DOI

      10.1016/j.gde.2013.02.008.

    • 査読あり
  • [学会発表] アフリカツメガエルの神経回路形成におけるSkit2とRobo2の役割

    • 著者名/発表者名
      塚野清人、深川真惟、川口将史、鈴木賢一、新居由佳子、高田裕美、村上安則
    • 学会等名
      日本動物学会
    • 発表場所
      岡山大学
  • [学会発表] Origin and evolution of molecular mechanisms underlying the regionalization of the developing telencephalon

    • 著者名/発表者名
      Yasunori Murakami
    • 学会等名
      International Synposium on Morphological Sciences
    • 発表場所
      新潟
    • 招待講演
  • [図書] 脳の発生学、14章、脊椎動物の脳の進化2013

    • 著者名/発表者名
      村上安則
    • 総ページ数
      17
    • 出版者
      化学同人
  • [図書] 生物の科学 遺伝 特集 形態進化のロジックを辿る2013

    • 著者名/発表者名
      村上安則、鈴木大地
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      エヌ・ティー・エス

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公開日: 2015-05-28  

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