研究課題
シナプスの形成および成熟に関わっていることが知られているシナプス前終末局在性細胞接着因子Neurexinについて、Flagタグを付加したNeurexin-1の遺伝子コンストラクトをhM3Dq(DREADD)の遺伝子コンストラクトと共にHEK293T細胞に共導入し、CNOによりhM3Dqのシグナルを誘導した後、この細胞抽出液をPhos-Tagゲルで電気泳動し、Flagタグ抗体でウェスタンブロットをした結果、CNOを投与した細胞抽出液ではNeurexin-1のバンドの泳動距離の変化,すなわちNeurexin-1のリン酸化が検出された。Neurexin-1の最後から3つのセリンをアラニンに置換したコンストラクトではこの変化は見られなかったため、hM3Dqのシグナルがこの部位のセリンをリン酸化したことが示唆された。また、TPAによるPKCの活性化でも同様な結果が得られたため、これはhM3Dqシグナルの下流として知られるPKCが活性化されたことによって起こることが示唆された。また、レンチウィルスによりNeurexin-1を培養ニューロンに導入した実験でも、PKC活性化によるNeurexin-1の最後から3つのセリンのリン酸化がみられた。これらのことから、PKCシグナルの活性化によるシナプス成熟のメカニズムとして、Neurexin-1の最後から3つのセリンのリン酸化が関わっていることを突き止めた。また、Neurexinの結合相手であるLRRTMがプロテオグリカンの一種であるGlypican-4と結合すると、シナプス前終末でNeurexinではなくてPTPsと結合し、別のパスウェイとしてシナプス形成を誘導することも突き止めた。
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http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/chair/i-2seiri/ja/tabuchi.html