研究課題
MV2プリオンとして現在分類されているが、理論的には129Metのプリオン蛋白分子が異常化したMV2なのか、129Valのプリオン蛋白が異常化したMV2なのか二通り存在するはずである。さらに129Met分子のタイプ2の異常化には皮質型の異常化と視床型の異常化がある。このMV2の理論的多様性を、病理的に我が国のCJDで検討したところ、ほとんどの症例はアミロイド斑陽性の129Valが異常化したMV2であることが解ったが、2例129Met分子が皮質型の異常化を示したMV2が存在することが明らかとなった。また、アミロイド斑陽性のMV2の症例にもごく一部にMetタイプ2皮質型の異常を認める症例が存在することも明らかとした。現時点で、我が国のCJDを解析した結果、M2C由来のMV2とV2由来のMV2が存在することが示唆された。それでは、この病理像からの異常型の推測が他の検査で証明できるかを検討した。感染実験においてはV2由来のMV2と考えられる症例は129Met/Met, 129Met/Val, 129Val/Valのノックインマウスに対する感染性はVV2と全く同じであった。またM2C由来のMV2は感染実験の準備中である。今年度の最も特筆すべき成果としてV2由来のMV2は、ウエスタンブロットでM2C由来のMV2と区別可能であることを明らかとした点である。V2由来のMV2はPrP83-97ペプチドで認識される中間型(intermediate type, imと略す)のプリオン蛋白が共に存在しており、これは129Met分子がV2プリオンによって異常化したMimであると考えられた。つまりMV2と呼ぶより、MV2/imと分類すべきあり、M2C由来のMV2ではこのimタイプの異常型プリオン蛋白が認められないことを明らかとした。
2: おおむね順調に進展している
我が国のプリオン病の剖検例で、MV2と診断されている症例の中に明らかにことなる2つの群が存在することを明らかとした。そして、予定通り、感染性での区別が可能かどうか感染実験を行っており順調の進んでいる。また、予想外の結果として、直接感染性を証明せずとも、ウエスタンブロットでMV2の2つのタイプを鑑別できることが今年度明らかとなった。
我々の研究は、順調に進んでおり、特に研究計画の変更など問題点はない。感染性の最終結論がでれば、新しいMV2の分類法を提唱できる予定である。
該当なし
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