研究概要 |
申請者らは過去の研究において培養細胞・リンパ球より精製したHSP27蛋白質がマウス一過性脳虚血再還流モデルにおいて脳梗塞巣縮少効果を有することを発見した。しかしながら大量精製可能な大腸菌から精製した合成HSP27蛋白質には脳梗塞巣縮少効果が認められなかった。今後のHSP27による脳梗塞治療の臨床応用のために大量均一な活性型HSP27の産生法を確立するために以下の研究をおこなった。1)[大腸菌過剰発現したHSP27] 大腸菌に過剰発現させ精製した脱リン酸化HSP27は脳保護活性が低いため大腸菌より合成したHSP27蛋白質をリン酸化酵素でリン酸化修飾し、虚血モデルにおいて脳保護効果のある活性型リン酸化HSP27蛋白質の合成した。合成HSP27をMAPK-activated protein kinase-2で in vitroでリン酸化した。ウェスタンブロット法にて細胞保護活性と関連のあるHSP27 Ser15, 78, 82がリン酸化されていることを確認した。マウス1時間一過性脳虚血再還流モデルに再還流1時間後投与にて牛血清アルブミンを投与した対照群に比し脳梗塞巣が52%に抑制された。このことより大腸菌で大量生産した合成HSP27蛋白質をin vitroでリン酸化することにより、脳保護活性のあるリン酸化HSP27が大量合成可能であることが分かった。2)[培養細胞内在性HSP27] Jurkat cellからの内在性HSP27蛋白質を抗体カラムを用いて精製した。Jurkat cell由来のHSP27はリン酸化されておりマウス一過性脳虚血再還流モデルにおいて脳保護効果が認められた。本研究において大腸菌過剰発現させたHSP27,Jurkat cell内在性HSP27を用いて汎用性のある脳保護活性のあるHSP27蛋白質が大量に得られることが明らかになった。
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