研究課題/領域番号 |
24650189
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
秦野 伸二 東海大学, 医学部, 教授 (60281375)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳神経疾患 / 脳・神経 / トランスレーショナルリサーチ / 動物 / 神経科学 |
研究概要 |
近年、神経変性疾患の分子病態解析が進展し、それら疾患の発症に膜小胞・物質移送系と連携した異常タンパク質の蓄積、細胞内小器官の異常が関わっていることが明らかにされている。特に、オートファジー・リソソーム系の変調は、疾患の発症及び進行を左右する重要な要因とされている。よって、そのような細胞内調節系は新たな治療標的系と捉えることができる。しかし、これまでに、その様な細胞内恒常性維持機構の改善を目指した疾患治療薬の開発研究はほとんど行われていない。本研究では、先行研究から得られた知見を基に、細胞内恒常性維持機構の改善を定量的に測定する手法を開発することにより、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する新たな新規治療候補化合物スクリーニング系を確立することを目指す。具体的には、まずpH感受性蛍光タンパク質(mKeima-Red)融合型LC3-TGマウスを作出する。その上で、ALSのマウスモデルを用い、それらと新規作出TGマウスと交配し、神経変性疾患発症・進行に伴うオートファジー・リソソーム系の異常を可視化できる評価系動物を作出することを目指す。 研究初年度は、mKeima-Redをレポーターとする融合タンパク質(mKeima-Red_LC3B)を始め、EGFP_LC3B、mCherry_LC3B等の発現コンストラクトを構築し、培養細胞系での発現解析を行った。その結果、各蛍光タンパク質融合型LC3Bの発現を確認するとともに、生細胞での蛍光観察でもLC3B融合タンパク質のオートファゴソーム様膜小胞への局在が確認された。また、マウス全身で導入遺伝子を発現する系統を作出するため、遺伝子プロモーターとしてCAGプロモーター制御下でmKeima-Red_LC3Bを発現する発現コンストラクトも完成させ、マウス受精卵へのマイクロインジェクションに用いる導入遺伝子断片の調整が完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、細胞内恒常性維持機構の改善を定量的に測定する手法を開発することにより、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する新たな新規治療候補化合物スクリーニング系を確立することを目指すものである。研究初年度である平成24年度は、種々の発現コンストラクトを構築するとともに、トランスジェニック(TG)マウスの作出を行う計画であった。本研究では、現在既にTGマウス作製の準備は完了しているが、TGマウス作製実験に入る前に、レポータータンパク質の発現に関する培養細胞を用いた実験を先行・優先した。細胞実験を優先した理由として、レポータータンパク質の細胞及び組織での発現を検出するレーザー顕微鏡等の検出条件検討が不十分であると判断したためである。現在、検出条件等については、培養細胞での強制発現系を用いて、mKeima-Red融合型LC3Bの細胞内で発現及び動態に関する検討を継続している。計画の進捗状況としては、若干の遅れはあるが、全体としてはほぼ順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、計画より若干遅れているが、おおむね順調に進んでおり、研究計画の修正及び変更の必要はない。従って、次年度以降も当初の研究計画に従って研究を遂行する計画である。 1.評価系動物の作出 研究2年度目は、作製したコンストラクトをマウス受精卵(C57BL/6系統)にマイクロインジェクションにより導入し、TGマウスを得る。そして、交配によりF1を作出した後、それぞれの系統における導入遺伝子・タンパク質の発現レベルを解析し、以後の実験に使用するマウス系統を選抜する。さらに、2種類変異SOD1発現マウス系統(SOD1H46R及びSOD1G93A)を用い、各々の変異SOD1-TGマウスとオートファゴソームを可視化することができるpH感受性蛍光タンパク質LC3-TGマウスを各々交配し、神経変性疾患発症・進行に伴うオートファジー・リソソーム系の異常を可視化できる2種類の評価系動物を作出する。 2.ALSマウスモデルに由来する初代培養神経細胞の樹立 作出したTGマウス系統から、初代培養細胞;マウス胎児線維芽細胞(MEF)、海馬神経細胞、及び脊髄運動ニューロンを各々樹立する。特に培養神経細胞については、様々な分化ステージにおける経時的なLC3陽性オートファゴソームの細胞内及び神経突起での分布・局在、数の増減等の変動を免疫組織学的解析、並びに電子顕微鏡による超微形態構造学的解析を行なう。さらに、これまでに明らかにされている既存の膜小胞マーカーとの共存を解析することにより、正常及び疾患状況下におけるLC3陽性オートファゴソームの成熟・移送・分解過程を解明する。これらの解析を通して、疾患発症・進行の過程での、特に軸索におけるオートファジー・エンドソーム・リソソーム系のSpatio-Temporalな変調の実態を明らかにする。MEFは非神経系細胞対照群として同様の解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度からの研究費繰越分に関しては、pH感受性蛍光タンパク質mKeima-Red融合型LC3Bを発現するトランスジェニックマウス作出の経費に充当する。TGマウスの作出は、機関(東海大学)内の研究支援組織である東海大学伊勢原研究推進部教育・研究支援センターに依頼する。具体的には、マウス全身で導入遺伝子を発現する系統を作出するため、遺伝子プロモーターとしてCAGプロモーターを用いる。作製したコンストラクトをマウス受精卵(C57BL/6系統)にマイクロインジェクションにより導入し、TGマウスを得た後、微生物モニタリングを経て、TG個体として繁殖用SPF飼育施設に搬入し、実験に用いる計画である。
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