研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究課題は、細胞内モーター分子であるミオシンスーパーファミリーの一つミオシンVI(Myo6)が、心的外傷後ストレス障害モデル動物海馬において、選択性の高い応答性を示すとの我々の研究成果を基盤とする。同分子Myo6は他のミオシンファミリータンパク質とは異なり、アクチンフィラメント上をプラス端からマイナス端に移動する唯一の逆向き輸送モーター分子である。当該年度では、Myo6コンディショナルノックアウト(Myo6flox/flox)マウスの作製、および同マウスより神経幹細胞の調整を行った。Myo6コンディショナルノックアウトマウスのゲノム中には、neomycin耐性遺伝子が、frt配列に挟まれた形で残存している。そのため、同マウスとFlippase過剰発現マウスと交配させた結果、ゲノム中よりneomycin耐性遺伝子を取り除くことに成功した。胎生15日目のMyo6flox/floxマウスより神経幹細胞を調整し、レンチウイルスを用いてCre recombinaseを過剰発現させる実験系の構築に成功した。
2: おおむね順調に進展している
Myo6コンディショナルノックアウトの作製に成功したので、同マウスより各種神経系細胞を単離し、インビトロでの機能解析をすることが出来るようになった。また、当該年度は同マウスと交配する予定の各種細胞特異的Creマウス(SynapsinI-Cre, S100b-Cre, Cd11b-Cre)のコロニーを拡大させ、各種細胞特異的な個体レベルでのMyo6の機能解析を実施する土台作りに成功した。
音恐怖条件付けによる拘束水浸ストレス(Water Immersion Restraint Stress; WIRS)を利用した我々のPTSDモデル動物では、ヒトPTSDの臨床的特長である擬似再体験および過度覚醒行動を、それぞれマウスにおける「音刺激によるフリージング行動」および「自発的運動の亢進」として再現・評価可能である。特に、細胞特異的にMyo6を欠損した動物を作製して、これらの各種遺伝子改変マウスを用いて種々の行動学的解析を行う。学習・記憶解析では、放射状迷路試験、モリス型水迷路試験、音恐怖条件付け試験およびロータロッドテスト、不安・恐怖解析ではオープンフィールドテスト、また赤外線検出型専用ケージを用いて自発運動性や概日リズムの解析とともに、プレパルス試験法を用いて、遺伝子改変動物の精神機能解析をあわせて実施する。したがって、Myo6flox/floxマウスでのWIRS処置による各行動学的指標を、正常マウスと比較することにより、PTSD発症時におけるMyo6の関与を行動学的に検証する。また、各種Myo6flox/floxマウスにWIRSを負荷して、その後の海馬歯状回における神経幹細胞増殖能変化について、BrdU取り込み能を指標に解析する。
該当なし
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 4件)
J. Bone Miner. Res.
巻: 27 ページ: 938-949
doi: 10.1002/jbmr.1538.
J. Cell. Physiol.
巻: 227 ページ: 3477-3487
doi: 10.1002/jcp.24048.
J. Pharmacol. Sci.
巻: 17 ページ: 20-29
doi.org/10.1254/jphs.12034FP
巻: 17 ページ: 112-116
doi.org/10.1254/jphs.12068SC
Neurochem. Int.
巻: 61 ページ: 498-505
doi: 10.1016/j.neuint.2012.03.019.
J. Neurosci. Res.
巻: 90 ページ: 2074-2085
doi: 10.1002/jnr.23101.
J. Biol. Chem.
巻: 287 ページ: 33293-33303
doi: 10.1074/jbc.M112.344051
PLoS ONE
巻: 7 ページ: e46177
doi: 10.1371/journal.pone.0046177.
J. Biol.Chem.
巻: 287 ページ: 36081-36095
doi: 10.1074/jbc.M112.408963.
巻: 7 ページ: e48270
doi: 10.1371/journal.pone.0048270.