研究課題/領域番号 |
24650196
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
米田 幸雄 金沢大学, 薬学系, 教授 (50094454)
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キーワード | ミオシン / フロックスマウス / Creリコンビナーゼ / 神経幹細胞 / PTSD |
研究概要 |
本研究課題は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状を誘発する、拘束水浸ストレスWIRSを負荷した実験動物の脳内海馬において、細胞内モーター分子の一つであるミオシンVI(Myo6)が、選択的に発現誘導されるとの我々の研究成果を理論的基盤とする。同Myo6分子は他のミオシンファミリータンパク質とは異なり、アクチンフィラメント上をプラス端からマイナス端に移動する唯一の逆向き輸送モーター分子である。当該年度では、前年度に作出したMyo6フロックス(Myo6flox/flox)マウスを用いて、胎児脳大脳皮質から神経幹細胞の単離と培養を行った。Myo6フロックスマウスのゲノム中には、neomycin耐性遺伝子がfrt配列に挟まれた形で残存するので、同マウスとFlippase過剰発現マウスを交配させると、ゲノム中よりneomycin耐性遺伝子が除去されて、特定細胞においてのみMyo6を欠損するコンディショナルノックアウトマウスの作出が可能となる。事実、胎生15日目のMyo6フロックスマウスより神経幹細胞を調整し、レンチウイルスを用いてCre recombinaseを過剰発現させると、培養細胞ではMyo6遺伝子の劇的低下が招来された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Myo6コンディショナルノックアウトの作製に成功したので、同マウスより各種神経系細胞を単離し、インビトロでの機能解析をすることが可能となった。また、当該年度は同マウスと交配する予定の各種細胞特異的Creリコンビナーゼ過剰発現マウス(SynapsinI-Cre, S100b-Cre, Cd11b-Cre)のコロニーを拡大させることで、各種細胞特異的な個体レベルでのMyo6の機能解析を実施する土台作りに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
インビトロ実験条件下にて、Myo6欠損に伴う神経幹細胞の増殖能と分化能の変動の可脳性を探索する。その後で、インビボ実験として音恐怖条件付けによる我々のPTSDモデル動物を利用して、ヒトPTSDの臨床的特長である擬似再体験および過度覚醒行動を、それぞれマウスにおける「音刺激によるフリージング行動」および「自発的運動の亢進」として再現・評価する。特に、細胞特異的にMyo6を欠損した動物を作製して、これらの各種遺伝子改変マウスを用いて種々の行動学的解析を行う。例えば、学習・記憶能力解析として、放射状迷路試験、モリス型水迷路試験、音恐怖条件付け試験およびロータロッドテスト、不安・恐怖解析ではオープンフィールドテスト、また赤外線検出型専用ケージを用いて自発運動性や概日リズムの解析とともに、プレパルス試験法を用いて、遺伝子改変動物の精神機能解析をあわせて実施する。さらに、Myo6flox/floxマウスでのWIRS処置による各行動学的指標を、正常野生型マウスと比較することにより、PTSD発症時におけるMyo6の関与を行動学的に検証する。また、各種Myo6flox/floxマウスにPTSDストレスを負荷して、その後の海馬歯状回における神経幹細胞増殖能変化について、BrdU取り込み能を指標に解析する。
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