実験動物に強烈ストレスを負荷すると、PTSD類似の長期的異常行動とともに、脳内海馬においてミオシンVI(Myo6)の発現が著明に上昇した。胚性腫瘍細胞のP19細胞に、Myo6を強制導入すると細胞の増殖能力が低下したが、神経細胞やアストログリア細胞への分化能力には著変は見られなかった。一方、人工的にMyo6発現を抑制すると、P19細胞の増殖能力は亢進したが、分化能力は変化しなかった。生死に関わる強烈ストレスは、脳内Myo6発現を上昇させて、その結果神経幹細胞数が低下することが、PTSD様症状発症とその後の海馬萎縮に関与するかもしれない。Myo6を標的とするPTSD治療と予防対策が望まれる。
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