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2012 年度 実施状況報告書

Toll様受容体を介した神経系―免疫系クロストークによる神経幹細胞制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24650198
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

中島 欽一  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (80302892)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード成体ニューロン新生 / 神経幹細胞 / 自然免疫 / Toll様受容体
研究概要

成体脳における神経幹細胞からのニューロン新生は記憶・学習などに重要であるため、ニューロン新生制御機構の解明は注目を集めている。成体脳では神経幹細胞を取巻く微少環境によりその増殖や分化が大きな影響を受ける。我々は、成体脳海馬歯状回顆粒細胞下層で、神経幹細胞と神経系に存在する免疫系細胞(ミクログリア)が隣接し存在するという結果を得ており、微少環境(ニッチ)における免疫系細胞とのクロストークによる神経幹細胞制御を考慮する必要があると考えてた。また、近年、神経系と免疫系の相互作用が示唆されてきているものの、自然免疫分子のニューロン新生に対する詳細な作用機序は明らかにされていない。そこで、本代表者は自然免疫受容体であるTLR7、TLR9の各遺伝子欠損マウスと野生型マウスの生理的条件下におけるニューロン新生の差異を検討したが、生理的条件下においてこれらに有意な差は認められなかった。しかし、カイニン酸投与によりてんかんを誘導し、あえて神経系に傷害を与えたところ、海馬においてTLR9のmRNA発現量の増加が観察され、TLR9シグナル活性化が予測できた。そこで、野生型及びTLR9遺伝子欠損マウスのてんかん誘導後に神経幹細胞の増殖への影響を観察したところ、野生型と比較してTLR9遺伝子欠損マウスでは、海馬歯状回におけるBrdU陽性細胞数が増加し、この細胞はニューロブラスト(既にニューロンに分化することが決定している神経前駆細胞)であることが明らかになった。さらに、野生型と比較してTLR9遺伝子欠損マウスでは、成熟ニューロン数の増加が見られ、ニューロン新生がさらに促進されることも明らかにした。すなわち、これらの結果はTLR9シグナルが、てんかん発作後の異常ニューロン新生を抑制している可能性を示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の実験計画通り、1)海馬ミクログリアでのTLRの発現を確認、2)TLR9欠損マウスにおいて、てんかん誘導時にニューロン新生が促進されることを観察、3)TLR刺激によりミクログリアにおける炎症性サイトカインの発現上昇を確認、4)そのサイトカインが神経幹細胞の増殖を抑制出来ることなどが分かった。以上のことから、おおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

4月から所属機関を九州大学大学院医学研究院へと異動したため、研究の進展に遅れが出ることは避けられない。しかし、種々の手続き等を早期に行い、出来るだけ滞りのないように努めたい。また、研究協力者をもう一名増員し、研究展開の迅速化を図る。

次年度の研究費の使用計画

該当なし。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] REGULATION OF ADULT MOUSE NEURAL STEM CELLS BY TLR9 MEDIATED SIGNALING

    • 著者名/発表者名
      松田泰斗、Juliandi Berry、村尾直哉、波平昌一、河合太郎、審良静男、中島欽一
    • 学会等名
      International Society for Stem Cell Research
    • 発表場所
      パシフィコ横浜

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公開日: 2014-07-24  

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