研究課題/領域番号 |
24650200
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森 望 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00130394)
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キーワード | ニューロン / 神経 / 初代培養 / 老化 / インビトロ / 寿命 |
研究概要 |
老化研究の分野では1960年代からいわゆる「細胞老化」の研究がさかんに行われたが、これはヒトの線維芽細胞など、分裂性の細胞における老化現象の研究であり、およそ50~60回の分裂のあとに非分裂のステージに入ることを「細胞老化」とし、人々はこれを発見者にちなんで「ヘイフリック限界」と呼んだ。脳内の細胞の主体はニューロンだが、これは分裂しない。しかし、ニューロンも老化する。われわれは本研究で、脳内のニューロンのような非分裂性の細胞の老化の様態を、「試験管内」「インビトロ」で研究しようとした挑戦的なまた萌芽的な研究である。 現在、老化脳あるいは成熟脳からのニューロンのインビトロ培養は不可能である。そこで、培養が可能な胎児脳から海馬をとりだし、そこから海馬ニューロンの長期培養系を確立した。培養を初めた初期は未分化な神経前駆体細胞から神経(ニューロン)に分化してゆくが、すぐに分裂停止にいたる。しかし、神経突起を伸ばしながらだいたい3週間ほどで成熟したネットワーク(神経回路のようなもの)ができてくる。この段階でいわゆるシナプスが成立している。われわれはその後も培養を維持し、5~6ヶ月齢から時には1年程度までニューロンの培養が可能となった。2~3ヶ月齢のニューロンに比べ、5~6ヶ月齢のニューロンではリポフスチンの沈着やシナプスマーカーの低下など「老化」の様相が見てとれた。 当初、2年計画で本研究を開始したが、主に神経の初代培養を担当した技官が産休になり、その代用の補助員で研究を継続努力したが、その補助員も事情で移籍となり、研究の進行が遅れがちとなったのでもう一年の期間延長をお願いした。幸いそれが認められたので、今後、この非分裂性のニューロンのインビトロでの老化現象の分子的な背景についてさらに詳しく調べ、特にマウスなどの個体レベルでの脳の老化と対比しつつ研究を進める予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、2年計画で本研究を開始したが、主に神経の初代培養を担当した技官が産休になり、その代用の補助員で研究を継続努力したが、その補助員も事情で移籍となり、研究の進行が遅れがちとなったのでもう一年の期間延長をお願いした。
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今後の研究の推進方策 |
幸い一年の期間延長がが認められたので、今後、この非分裂性のニューロンのインビトロでの老化現象の分子的な背景についてさらに詳しく調べ、特にマウスなどの個体レベルでの脳の老化と対比しつつ研究を進める予定としている。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、2年計画で本研究を開始したが、主に神経の初代培養を担当した技官が産休になり、その代用の補助員で研究を継続努力したが、その補助員も事情で移籍となり、研究の進行が遅れがちとなったのでもう一年の期間延長をお願いした。幸いそれが認められたので、今後、この非分裂性のニューロンのインビトロでの老化現象の分子的な背景についてさらに詳しく調べ、特にマウスなどの個体レベルでの脳の老化と対比しつつ研究を進める予定としている。 細胞培地、種々の化学薬品、シャーレなどのプラスチック製品などの消耗品の他、動物(妊娠ラット)の購入費用にあてる。また、論文投稿に必要な経費も予定している。
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