研究課題
インスリン様シグナルは進化的に保存されており、高等動物の代謝、細胞増殖、生存の制御などに重要な役割を果たしている一方で、下等動物モデルにおける解析から、インスリン様シグナルの体系的あるいは中枢神経系における欠損は、寿命を延長し老化を遅延することが示されていた。しかし、同効果が高等動物においても機能しているかは不明であったが、我々は、マウスの脳特異的なインスリン様シグナルの欠失が、下等動物と同様に寿命延長・老化遅延効果を有することを世界で初めて明らかにした。老化に伴う特徴的な脳機能の変化の一つである記憶学習能の衰退は、海馬の神経新生の低下に関係するが、脳インスリン様シグナルの低下がこれらの変化へ与える影響については未だ不明であった。我々は、老齢期の脳インスリン様シグナル欠損マウスの海馬における解析から、細胞増殖および神経新生が増加し、老化誘導性の神経炎症の増加および神経細胞の活動性の低下が有意に抑制されることを明らかにした。さらに、行動解析から、これらのマウスの記憶学習能は、老齢期においても高く保持されていることが判った。
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