以前測定した硬直条件では、筋原線維表面から500nmほどの距離まで動きの束縛された水が分布することが示唆されていたが、当該研究によりATP存在下では水の束縛量は半分程度に減少することが分かった。 ミオシン頭部でATPを加水分解しながらアクチンとミオシンのクロスブリッジの結合乖離が起こることで筋肉は張力を発生しているが、今回測定された硬直と弛緩状態での束縛された水の量の大きな変化は、収縮のキネティクスに何らかの寄与をしている可能性がある。さらに、収縮中のほかの中間体としてミオシンADP複合体があるが、ADP存在下でも同様の測定を行い、ADP結合状態でも水の束縛量が減少していることが分かった。
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