研究課題/領域番号 |
24650218
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
坂場 武史 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (80609511)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経科学 / 脳・神経 |
研究概要 |
神経終末は1ミクロン程度の大きさしかないが、電気刺激などの従来の方法は、多数の終末を同時に刺激してしまい、1個だけを刺激する方法はなかった。光学的には1から数ミクロン程度のスポットを作ることができるので、光刺激を行うことで、1個の終末のみを比較的簡便に刺激をすることができると考えられる。また多数の終末を個々に刺激できるので、終末間の性質の多様性などを調べるにも適している。この考えに基づき、スポットアンケイジング法を小型神経終末に適用することでシナプス伝達の解析ができるかを試みた。ラットから急性小脳スライス標本を作製し、2個の小脳抑制性神経細胞(バスケットないし星状細胞)をパッチ電極で同時に膜電位固定し、各細胞の膜電流を測定した。一方の神経細胞にケイジドCaおよびCa蛍光指示薬を導入し、他方に形態を標識する色素を導入することによって、シナプスを作っている領域(異なる蛍光を発する線維がクロスするところ)を同定した。シナプス前終末領域にスポット光(直径1から2ミクロン程度)を局所的に照射することにより、ケイジドCaからCaを解離させ、終末内でCa濃度を強制的に上昇させた。Ca上昇により伝達物質放出をおこさせ、シナプス後細胞の応答を起こすことができ、このシナプスの伝達物質放出機構の解析をおこなった。また、繰り返し光刺激することができるので、短期、長期のシナプス可塑性誘導時において前終末の性質がどのように変化するかを計量する可能性がでてきた(Trigo et al., 2012)。 次の段階として、この方法を小脳のほかのシナプスに適用することを試みること、終末からの直接電気記録と組み合わせることで、光学的方法の妥当性を検討することを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度の実験計画はおおむね予定通りに遂行し、初期の目的であるスポットアンケイジング法の技術開発は達成した。また、結果の一部は論文に公刊することができた。また、平成25年度以降の計画についても既に準備に取りかかっており、当初の計画以上に進んでいると結論できた。
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今後の研究の推進方策 |
概ね、初期の研究計画どおりに遂行することで、問題ないと考えている。具体的には小脳介在性神経細胞間シナプス以外の標本にもスポットアンケイジング法を適用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
来年度も申請書記載にそって、研究費を使用する。スポットアンケイジング法に必要な設備備品は前年度までに揃えているため、実験に必要な消耗品を中心に使用する。
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