研究課題/領域番号 |
24650219
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田中 謙二 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (30329700)
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研究分担者 |
松井 広 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 助教 (20435530)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 生理学 / バイオテクノロジー / 応用動物 / カルシウム / オプトジェネティクス |
研究概要 |
細胞内カルシウム濃度を細胞種特異的に操作する方法が求められている。細胞種特異的に光感受性蛋白であるメラノプシン、もしくはチャネルロドプシンを発現させ、光で細胞内カルシウム濃度を操作するマウス実験系の構築を目指した。 tetO-メラノプシンノックインマウスのキメラマウスと野生型マウスを交配し、生殖系列に子孫が伝搬することが確認できた。次に、tetO-メラノプシンマウスとMlc1-tTAマウス(アストロサイト特異的にtTAを発現するマウス)、PLP-tTAマウス(オリゴデンドロサイト特異的)、Iba1-tTAマウス(ミクログリア特異的)をそれぞれ交配させ、ダブルトランスジェニックマウスを得た。それぞれのダブルトランスジェニックマウスの脳を採取し、メラノプシン遺伝子が発現しているかin situ hybridization法で確認したが、全く誘導が得られなかった。 一方で、神経細胞特異的tTAマウスとの交配においては、メラノプシン遺伝子がtTA特異的に発現し、光に応答して細胞が興奮したことから、誘導がかかりさえすれば光操作が可能であることが明らかになった。 カルシウム透過型チャネルロドプシンを発現するマウスを得るためのターゲッティングベクターを構築できた。そのターゲッティングベクターを用いて、組換えES細胞を選別する実験を行ったが、200クローン中、1つも組換えES細胞を得ることが出来なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
tetO-メラノプシンノックインマウスが生殖系列に伝わることまでは達成できた。 しかし、実績のあるグリア細胞特異的tTAマウスと交配させたところ、メラノプシン遺伝子の発現誘導が得られなかった。tetOマウスをホモに、tTAマウスをホモにしてメラノプシン遺伝子の発現誘導が得られるか待たなければならない。 カルシウム透過型チャネルロドプシンを発現するマウスを得るためにターゲッティングベクターを作成できたが、1回目のES細胞スクリーニングでは1つも組換えES細胞を得ることが出来なかった。ターゲッティングベクターの構築について再考を迫られた。
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今後の研究の推進方策 |
メラノプシン遺伝子の発現量を最も高く誘導できる組み合わせの交配を重ね、グリア細胞にメラノプシン遺伝子を発現させる。 ES細胞スクリーニングの失敗は、ターゲッティングベクターのhomology armの選択方法の失敗であった可能性が高いことから、homology armの長腕、短腕を逆転させたターゲッティングベクターを構築し、ES細胞スクリーニングを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
メラノプシンマウスについては引き続き交配を重ね、ホモ同士のダブルトランスジェニックマウスを得る。遺伝子発現誘導を組織学的に確認する一方で、得られたマウス脳からスライスを調整して光応答実験を行う。 カルシウム透過型チャネルロドプシンマウスについては、ターゲッティングベクターを速やかに構築し、ES細胞スクリーニングに移行させる。
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