研究課題/領域番号 |
24650220
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
川島 卓 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90161314)
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研究分担者 |
村瀬 忍(廣嶌忍) 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40262745)
佐竹 裕孝 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30187158)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 神経シンクロニー / βγ周波数 / 両手運動 / ECoG / EEG / 視覚目標追跡課題 |
研究概要 |
研究の目的は1)サルに、コンピュータディスプレイ上に提示される標的を両手でジョイスティックを操りその位置カーソルが標的を追いかける課題を行なわせる。大脳皮質硬膜に埋め込んだ慢性電極より記録されたECoGの局所電場電位(LFP)を多数同時記録する。このβγ(20Hz~50Hz)周波数帯の同期周期活動の強さを反映する相互相関をコンピュータで計算する。相互相関係数の大きさは2つのECoG記録部位の神経結合の強さを表す可能性が高いことが分かっている。この事実を用いてタスク遂行時の左右大脳間及び半球内の各領野間での神経結合の強さを比較する。2)長期の運動学習過程における、相互相関係数の変化すなわちLFPのβγ周波数シンクロニーの変化と大脳領野間のダイナミックな時間的な神経結合変化の関連性を調べる。特に運動学習未熟期、運動学習達成初期時、運動学習達成期に分けてLFPのβγ周波数シンクロニーの発生頻度の比較を行い運動学習との相関を詳しく解析する。3)ヒトで同じタスク実行時のEEGシンクロニーを記録しサルとの空間分布の比較を行いこれらを通じて人の感覚運動情報処理での半側特異性について調べること。の3点である。 ヒトのEEGのシンクロニー記録実験については、実験装置のセットアップを終えパイロット的な記録を行った。 またサルの実験については実験用サル2匹の納入が実際に行われたのが10月終りになった。 この直後よりサルの訓練を開始し実験環境に適応するレベルまで到達している。 片側25本のマルチ電極を左右両側大脳皮質硬膜への埋設しECoGの記録を始める段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画の遅れの主な原因は、NBR(ナショナルバイオリソース)から供給を受けた実験用サルの納入が今年度は年2度しかなく10月末までかかったことにある。このことに関する調査不足と研究計画の不備は研究者側にも責任があるかもしれないが、最速の供給が年度開始から半年かかる制度は少々遺憾である。動物を受け入れた後は、訓練に励み記録開始ができる時点に到達したところである。
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今後の研究の推進方策 |
1)ヒトのEEG実験については、本年度に本格的にはじめる。研究協力者(村瀬)の指導する大学院生と学部学生などに被験者として協力を得る方針である。少なくとも10人のヒトのEEG データが確保できるようにする。これまでの吃音者と健常者から記録を行ってきた言語処理過程での脳波・事象関連電位の記録実験装置をほとんどそのまま使うことができる。 EEGの情報は、大脳の機能局在性を調べるのに不十分な手段であるといわれて来たが、本当に(サルの)ECoGに比較して劣る情報でしかないのかをシンクロニー記録から明らかにする。 2)サルのECoG記録については、引き続き大脳半球内、両側半球間の神経シンクロニーの強さを計算し大脳各部位の機能結合性を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越金が生じた主要原因は、当初予定していた日本光電製16Ch生体アンプの購入をやめたことにある。この理由は16CH記録だけでは、必要とするECoGの記録電極の数にどうしても足らない為である。次年度に32ch脳波計を一台を入手し、現存の32ch脳波計と合わせた64chが記録可能な実験システムに変更する。サル用のECoG用慢性マルチ電極がもう一匹分さらに必要になるのでこの購入も予定している。そのほか記録解析用のコンピューター部品の購入および、ヒトEEG実験用消耗品などが主な研究費の使用用途になると考えられる。
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