研究課題/領域番号 |
24650228
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高橋 智 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50271896)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 発生 / 糖尿病 / 細胞・組織 / 応用動物 / 再生医学 |
研究概要 |
1. 新規糖尿病モデルマウスにおける新たな発症機序の解明 我々作製したMafa-/-::Mafk+マウスにおいて、MafKの役割を明らかにすることによって、β細胞からα細胞への分化転換の分子メカニズムを明らかにすることができる。そのために、胎仔、新生仔の膵臓に対して、各種ホルモンに対する抗体を用いた免疫組織学的解析により、分化転換時期の確定を行った。その結果、β細胞からα細胞への分化転換は胎生期の中期から起こり、出生時期までにはα細胞とβ細胞の細胞数が逆転していることが明らかとなった。Flag-MafKに対するCHIP解析を実施するための抗Flag抗体を用いたCHIP実験の予備実験を行い、実験条件をほぼ決定することができた。 2.リアルタイム・イメージングを可能にする評価系モデルの開発 MIP-Luc-BAC TgマウスとMafA-KusabiraOrange BAC Tgマウス、およびβ細胞をモニターするInsulin-EGFPマウス、膵臓内分泌細胞をモニターするNgn3-GFPマウス、インシュリンの産生をモニターするInsulin-DsRed1マウス、α細胞とβ細胞をモニターするMafB-GFPknockinマウスを用いて膵内分泌細胞の可塑性を、経時的に可視化し追跡できるシステムを構築した。MIP-Luc-BAC Tgマウスについては詳細な解析を行い、これまで使用されていたInsulin-Luc-VUマウスよりも高感度かつ非特異的な活性が少ないことを明らかにした。これらの結果はPlos Oneに論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
必要な遺伝子改変マウスを着実に作製しており、一部成果も得られつつある。計画は概ね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
1. 膵内分泌細胞の可塑性が病態生理学的に糖尿病に与える意義 膵内分泌細胞の持つ可塑性が、病態生理学的に糖尿病に与える意義について解析を行う。Mafa-/-::Mafk+マウスのランゲルハンス島は、グルカゴン陽性細胞がその殆どを占めるようになるが、グルカゴンによる肝臓でのグリコーゲン分解と糖新生促進作用は、糖尿病患者におけるインスリン抵抗性に関与している。そこで、このマウスにおける(1)インスリン抵抗性(2)膵グルカゴン含有量および血中グルカゴン濃度の上昇、さらに(3)肝におけるPepckやGlucose-6-phosphataseを含む糖新生関連遺伝子の発現増強を示し、このモデルマウスにおける膵内分泌細胞の可塑性に伴うグルカゴン陽性細胞の増加が、インスリン抵抗性の一因であることを証明する。 2. α・β細胞の可塑性に伴う新たなモデルマウスの作製と解析 平成24年度に明らかになるα・β細胞の可塑性の分子メカニズムに基づいて、さらに新たな糖尿病モデルマウスを作製する。すなわち、前述のChIP シーケンスとマイクロアレイから明らかになる未知遺伝子について、遺伝子欠損ES細胞を国際コンソーシアムより購入して、キメラマウスおよび遺伝子欠損マウスの作製と初期の表現型解析を行う。これらの新規マウスは、初年度に開発したMIP-Luc-BACTgマウス等の評価系モデルを応用して、より高速かつ簡便に可塑性の証明を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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