研究課題/領域番号 |
24650234
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
郷 康広 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (50377123)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | リサーチバイオリソース / モデル動物 / ゲノム / 霊長類 / トランスクリプトーム / エピジェネティクス |
研究概要 |
マカクザルの発達段階の複数脳領野における遺伝子発現ダイナミクスとエピゲノム動態を解明する事により、マカクザルの脳神経サーキット解明のための方法論の確立と分子基盤の解明を目的とする。平成24年度は、マカクザルの各発達段階における脳のサンプリングを集約的に行った。新生児から2歳齢まで8個体のマカクザルの12領野から遺伝子発現解析のためのRNA、メチル化シトシン定量化のためのDNAをそれぞれ調整した。現在、抽出したRNAを用いて、トランスクリプトーム解析用のライブラリーがほぼ完成し、次世代シーケンサーによる配列解読および発達段階における脳12領野の比較トランスクリプトーム解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験の対象としているマカクザルのうち、特にニホンザルは季節性繁殖動物であり春に出産を迎える。また、新生児はいつ産まれるかの予測が難しいなどの問題があった。それでも、平成24年度は8頭(計画全体では12頭を予定)の脳試料のサンプリングを行えた。平成25年度には、あと4頭のサンプリングを行う予定である。トランスクリプトーム用のライブラリー作製はほぼ終了したが、配列解読がまだ終わっておらず、メチローム解析用のライブラリー作製も平成25年4月から順次開始している。 一方、平成25年度に行う予定にしているニューロン種単位のオミックス解析方法の確立に関しては、予備実験として1頭のサルへの神経トレーサーの注入、組織切片の作製まで順調に進んでいるが、蛍光色素で標識したニューロンのマイクロダイセクション法による回収が機器のトラブルもあり、メドが経っていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成24年度にサンプリングできなかった残りの4個体のサンプリングにまずは努める。サンプリングした脳組織から大脳新皮質を中心に12領野からRNAおよびDNAを抽出し、トランスクリプトームおよびメチローム解析用のライブラリーを順次作製し、次世代シーケンサーによる配列解読を行う。 それに加えて、ニューロン種単位のオミックス解析を精力的に進める。マイクロダイセクション法を用いた細胞あるいは一部の組織の回収は順調に進んでおり、サンプルの採取自体は問題なく行えている。顕微鏡と蛍光色素の相性を考えるなどの改良を加えて蛍光標識された複数タイプのニューロンの回収および微量DNA/RNAの抽出を行う。抽出されたDNA/RNAを用いて次世代シーケンサー用のライブラリーを作製し、配列解読およびトランスクリプトーム解析・エピゲノム解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度中にサンプリングを終えられなかった個体が4個体あり、それらの個体からの核酸の抽出、次世代シーケンサーライブラリーの作製、次世代シーケンサー配列解読のための試薬代を平成24年度から平成25年度へ繰越を行った。また、マイクロダイセクション法によるオミックス解析に関しては、実際にパイロット実験を終え、ニューロンからの核酸の抽出、次世代シーケンサーライブラリの作製、次世代シーケンサー配列解読のための試薬を支出予定である。 具体的な金額として、次世代シーケンサーライブラリー作製・配列解読用試薬として100万円、逆行性トレーサー試薬として10万円、マイクロダイセクション用試薬として20万円、微量DNA/RNA抽出試薬として20万円を見込んでいる。
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