研究課題
本研究では、これまでに私たちが構築した新しい変異マウス作製系(DNAポリメラーゼdelta改変マウスを利用した新規ミュータジェネシス)により作出された「ヒト可聴音域で小鳥のようになくマウス変異体(sng変異体)」を利用して、新しい「音声コミュニケーションの実験動物モデル」の構築に取り組んだ。最終年度となる平成26年度は、前年までの研究結果を踏まえて、発声行動を支える器官構造の解析、発声行動の音声解析、c-fosプローブを用いた中枢神経系の解析に取り組み、sng変異体が音声コミュニケーションの実験動物モデルとして、有用であることを示すことができた。これまで、ヒト可聴音域で新たな発声行動を示すことは分かっていたが、その機能や発声行動に至るメカニズムには不明な点が多かったsng変異体であったが、本研究によって、その発声行動が周囲の個体に及ぼす影響、発声行動の発達過程、さらには発声器官の構造変化が明らかにすることができた。また、ヒト可聴音域での発声行動がヒト疾患との関連も明らかにすることができた。これらの解析の結果は、sng変異体が「音声コミュニケーションの実験動物モデル」としての有用性を示すばかりでなく、哺乳類の発声行動や音声コミュニケーションがどのように進化してきたかを理解する上で重要な示唆を与えた。音声コミュニケーションのモデルとして、さらなる発展を遂げるためには、個々の音素や音素の順番が示す機能的な意味を捉えることが、今後の重要な課題になると考えられる。
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Journal of Neurophysiology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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