研究課題/領域番号 |
24650241
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
田村 勝 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教 (50370119)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 染色体異常疾患 / トリソミー / モノソミー / モデル動物 / マウス |
研究概要 |
研究開始1年目の本年度は、染色体異常疾患モデルマウス構築の為のノックイン用ベクター構築、トランスジェニック (Tg) 用プラスミドベクター作成、マウス用にメダカTol2転移酵素のコドン最適化及びTg用ベクターの作成等を行った。更にこれらのベクターを用いて、主にTgベースで染色体異常疾患モデル用遺伝子組換えマウスを作成した。現在、10系統のライン化を行うと共に、Tol2安定発現Tgマウスの選別、ノックインマウス作製に着手している。 Micro-CTを用いた表現型解析法の確立においては、ブアン溶液、10%ホルマリン溶液、4%パラホルムアルデヒド溶液などの各種組織固定法とヨード溶液やリンタングステン酸溶液等の造影方法の組み合わせを検討し、画像化の最適化を行った。造影剤による組織収縮率や組織別コントラストの度合いを加味して検討した結果、臓器種や解析する目的により固定法と造影方法の組み合わせを変更する必要がある事が明らかとなった。 染色体異常疾患モデル動物からの原因遺伝子同定では、ヒト4番染色体長腕部分重複症 (4q+)をモデルに、当該疾患モデルマウス(ヒト4q31-34領域、約6.5 Mbが重複し、17遺伝子が量的効果を示す)を複数種類の遺伝子欠損マウス遺伝的背景に導入する事により原因候補の遺伝子量補正を行った。得られた2重、もしくは3重変異体をmicro-CT等を用いて解析した結果、4q+における軸前側多指症や心室中隔欠損を含む先天性心疾患等の症状は、basic helix-loop-helix型転写因子、Hand2遺伝子の量的効果である事が明らかとなった。しかしながら、幾つかの当該疾患、モデルマウスで共通してみられる症状でHand2の遺伝子量補正を行っても部分的にのみ改善する表現型が存在していた。このことは、単一症状に複数の遺伝子量効果が関与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデル動物作製において、用いたレポーター遺伝子発現用プロモーターが胎児期の発現は非常に強いが、系統化する事によりその活性が著しく低下する事が明らかになった。その為にベクターを再構築し、モデル動物の作製を行った。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子組換えマウスの系統化によるプロモーター活性低下の原因として、ゲノム上でのposition effectが予想されたので、レポーターコンストラクトにインシュレーターを導入することにした。予備的な実験からインシュレーターをレポーターコンストラクトの外側に挿入する事により安定した遺伝子発現を再現できる事を既に確認している。 また、Tgベースと共にノックインマウスベースのモデル動物を引き続き作製し、得られたモデル動物の表現型を解析する。Micro-CTを用いた表現型解析法開発については更に最適化を行い、更に高速化や自動表現型抽出法の開発を順次行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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