研究課題/領域番号 |
24650248
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
出口 真次 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30379713)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | メカノバイオロジー / 張力ホメオスタシス / 非筋II型ミオシン / 細胞バイオメカニクス / 炎症慢性化 / 細胞生物物理学 |
研究概要 |
張力ホメオスタシスはストレスファイバーの等尺性収縮状態を基礎に作られると考えられる。本研究の目的の一つである「細胞外でストレスファイバーの等尺性収縮状態を実現する」ためには、それがどのような構成成分から達成されるかを明らかにすることが重要である。しかしながら従来は、マイナーなタンパク質成分を含めると、ストレスファイバーの固有成分の全体像は不明のままであるため、本年度はストレスファイバーの構成成分を調べた。まず浸透圧ショック法により、ストレスファイバーを平滑筋細胞から単離した。この過程におけるストレスファイバーの成分変化を調べるために、10数種類のタンパク質の抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った。異なるイオン強度の溶液を用いて浸透圧ショックを行う際に、イオン強度が下がるほどストレスファイバーから解離するタンパク質の総量が少なくなることがわかった。また電子顕微鏡観察の結果、イオン強度が低いほどストレスファイバーの構造が正常に維持されていることがわかった。続いて低イオン強度溶液にtriton X-100を加えて、ストレスファイバーに付着する細胞膜成分の除去を試みた。その結果、親油成分だけでなく複数の水溶タンパク質がストレスファイバーから解離することがわかった。解離するタンパク質はRho-kinaseなど概してシグナルタンパク質であり、一方直接力の支持に関わるアクチンや非筋II型ミオシンなどはtriron X-100処理の有無に関わらずストレスファイバーに結合したままであった。他にも質量分析装置を用いて抗体では同定できていない成分のタンパク質群の特定を進めるなど、ストレスファイバーに固有なタンパク質成分を明らかにしつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ストレスファイバー固有の構成成分群を初めて明らかにしつつある。これはストレスファイバーを用いて「in vitro張力ホメオスタシス」を達成するうえで基礎となる情報であり、それが得られたことは人工的に当該ホメオスタシス現象を再現する必要条件の同定につながる。次年度の研究に具体的な手がかりを与えたという意味でも、ここまで順調に研究を進めることができていると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究代表者は平成25年度より名古屋工業大学へ移籍した。名古屋地域ではストレスファイバーに関する研究に取り組む複数の研究グループがあるために、これらの関連深い近隣の研究者と協力して研究を進めることを検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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