心筋梗塞や脳梗塞等の血管病の原因となる粥状動脈硬化症の発症に関わる分子を探索した。粥状動脈硬化症は内皮細胞が乱流性の流れ剪断応力に曝される血管の分岐部に好発するが、その分子機構は明らかではない。そこで本研究では、完全長cDNAライブラリーを用いて乱流の剪断応力に応答するLDL受容体を発現クローニングした。ヒト血管内皮細胞において、遺伝子およびタンパクの発現が層流の剪断応力により減少し、乱流の剪断応力により増大する2種のクローンを特定し、ヒト動脈硬化病変に発現することを免疫染色により確認した。以上の結果から、本研究で発見した2種の分子が粥状動脈硬化症の発生機序に関与すると考えられる。
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