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2012 年度 実施状況報告書

非侵襲的に得られる臨床データを用いた大動脈瘤の個別破裂リスク推定

研究課題

研究課題/領域番号 24650256
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

杉田 修啓  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20532104)

研究分担者 松本 健郎  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30209639)
碓氷 章彦  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30283443)
荒木 善盛  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70437010)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード血管壁 / 破裂予測
研究概要

近年増加している大動脈瘤患者の破裂危険度の推定を目指し,血管壁の硬さから破断強度を予測することに取組んだ.無負荷状態の血管壁に破裂まで負荷を加えると,「負荷を増加しても硬くならなくなる時点での負荷」と「破断強度」とが有意に相関した.そのため,生体内の圧力変動範囲でも硬さと破断強度の関係を求めることに取組んだ.当初は,生理範囲の血圧変化から血管壁硬さ情報を取得するために,ウサギ等の小動物の下行大動脈を麻酔下で露出させ,直接法による血圧計測を行い,血管壁に付与したマーカの変位を計測してひずみや曲率を計測することを計画した.しかし,動物を生きた状態のまま大動脈を露出して血管径を計測することが困難である情報を得たため,摘出した血管壁に生体内と同様な力学負荷を行うことで,血管壁の硬さを調べることとした.そのために,摘出した血管壁に内圧を加え,血管径を計測する実験系の構築した.しかし,血管壁の硬さを計測するためには,さらに精度のよい計測が必要であることが判明したため,今後さらに実験系の改良を行う.また,大動脈瘤のような病変血管でも血管壁の硬さから破断強度が予測できるのかを検討するため,動物に大動脈瘤を形成させる方法の情報収集を行った.
一方,なぜ硬さから破断強度の予測が可能となるかを調べるために,血管壁内のコラーゲン線維を観察した所,低圧力ではたるんでいるコラーゲン線維が負荷増加に伴い伸びきった負荷と血管壁の硬さが増加しなくなる負荷が同一であることを見出した.従って,硬さから破断強度を予測できる方法により信頼性を与えることができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画予定であった内容については,生体内の圧負荷範囲内での力学試験による力学特性計測装置の作製を粛々と進めている.ただし,生体内の血管径計測から生体外に摘出した血管径計測に計画を変更したため,それに伴い,研究方法自体も変更を要し,結果としてこの内容での進捗は少し計画より遅れている.
また,動物で瘤モデルを作製するため,使用動物をウサギからラットに変更した.これにより,血管径を小さくした上で,実験装置を改良する作業が必要になっている.
一方、当初は計画外ではあったが,硬さから破断強度の予測が可能となる理由について,実験結果に基づいて,筋の通った1説を提唱することができた.従って,概ね順調に進展していると考えている.

今後の研究の推進方策

実験動物の変更による血管径観察装置の変更を取り急ぎ行う予定である.また,今後は、時間を要すると想定される大動脈瘤モデルの作製過程を現在行っている実験装置の作製過程を同時にすすめていく予定である.
また,ヒトの診療情報から硬さ情報を計測できるかを調べるためには,超音波による計測を検討している.

次年度の研究費の使用計画

当初の予定どおり,大動脈瘤モデルを作製するために,実験動物と薬剤およびその消耗品を予定する.
また,精度良く血管径を計測するための顕微鏡や,応答の速い圧力調節システムも必要に応じて購入する予定である.この場合,電気電子部品,機械部品等の購入も見込まれる.
さらに,ヒトの診断情報から予測する方法を検討するため,情報収集としての旅費も見込んでいる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 胸部大動脈瘤の拍動特性から破裂圧力が推定できるか?2012

    • 著者名/発表者名
      杉田修啓,松本健郎,大橋俊朗,熊谷紀一郎,秋元弘治,田林晄一,佐藤正明
    • 雑誌名

      脈管学

      巻: 52 ページ: 272-283

    • DOI

      10.7133/jca.52.277

    • 査読あり
  • [学会発表] Tensile strength of the aorta can be estimated from mechanical parameters which depends on degree of intramural collagen fiber alignment2013

    • 著者名/発表者名
      S. Sugita, T. Matsumoto.
    • 学会等名
      ASME 2013 Summer Bioengineering Conference
    • 発表場所
      Sunriver, Oregon, USA
    • 年月日
      20130626-29
  • [学会発表] 引張負荷中の血管壁内コラーゲン線維の構造変化が壁の引張強さに与える影響2013

    • 著者名/発表者名
      杉田修啓,松本健郎
    • 学会等名
      日本機械学会 第25回バイオエンジニアリング講演会
    • 発表場所
      つくば
    • 年月日
      20130109-20130110

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公開日: 2014-07-24  

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