研究課題/領域番号 |
24650258
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
堀内 孝 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10201758)
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研究分担者 |
野村 信介 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (20198625)
宮本 啓一 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70252343)
村田 智博 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90508532)
石川 英二 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (10362352)
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キーワード | 腹膜透析 / 再生医療 / 腹膜中皮細胞 / 細胞分離 / 細胞老化 |
研究概要 |
腹膜透析は在宅治療が可能な末期腎不全の対症療法の一つである。その腹膜透析排液には老廃物のみならず腹膜を形成している腹膜中皮細胞や白血球系の細胞も失われている。本研究では、腹膜透析排液中の腹膜中皮細胞(PDE-HPMC)に着目し、正常な中皮細胞を分離・有効活用し、腹膜損傷部位へ治療の細胞源として応用することを目指した。 腹膜透析患者24名の腹膜透析排液をからPDE-HPMCを採取し、その細胞増殖率や初期細胞接着率、中皮細胞マーカーであるCytokeratin-18(CK-18)の陽性率、膜間電気抵抗(TER)測定や細胞老化(SA-β-Gal)、細胞抗酸化能(DCFH)測定を行った。より正常な機能を持つ細胞を分離するため、Percoll密度勾配遠心分離法を用い細胞分離を行ない、分離後の細胞を上記の評価方法を用いて評価した。さらに、密度分布が異なる患者間で発現している細胞タンパクの違いを検討するため、二次元電気泳動を行い、発現タンパク質の増減を調査した。 腹膜透析排液中のPDE-HPMCの割合は約4%と示され、CK-18陽性率が97%を示した。このことから中皮細胞であることが示された。Percoll密度遠心分離を1.02~1.07g/mLまでの5つの勾配で行い、それらのキャラクタリゼーションを行った結果、密度が1.05~1.07g/mLの細胞群では細胞間結合が高く、老化の割合が低く、抗酸化能が高いことが明らかとなった。二次元電気泳動とTOF-MASS解析から、密度分画別に発現タンパクの違いがあることを明らかにした。 HPMCには密度分画別に細胞機能が異なり、密度が1.05~1.07g/mlの分画では細胞がより正常な機能を示した。この分画の細胞をさらに詳細に分画することで、正常細胞を分離できる可能性が示唆された。また細胞密度分布が腹膜機能を評価する手段になる可能性が示唆された。
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