研究課題
本申請課題では、生体内に存在し、リン脂質と脂質結合蛋白質(apoA-I)からなる直径10nmのディスク状ナノ粒子、高比重リポ蛋白質 (High-Density Lipoprotein, HDL)をベースとして、生体適合性高分子ポリエチレングリコール(PEG)を含まず、肝臓以外の様々な臓器・器官へ集積できる、真に生体適合性の遺 伝子キャリアを開発することを目指している。一昨年度までに8種類のapoA-I欠損変異体を取得し、予備的に、C末端領域を含まないapoA-Iから作製したHDLがHDL受容体のSR-BIに対して弱い結合活性を示す結果が得られていた。しかしこの変異体HDLは粒子径が野生型HDLの10nmよりもかなり大きかったため、このサイズの違いがSR-BI結合活性に影響を与えた可能性があった。そこで本年度では、全ての変異体HDLのサイズを野生型HDLの10nmに近づけるべく、HDL再構成条件の検討を行った。具体的にはapoA-I欠損変異体とリン脂質との混合モル比を種々検討し、8種類のうち上記変異体を含む3種類の粒子径を<20nmに低下させることに成功した。SR-BI発現CHO細胞を用いるHDL結合評価系では、FITCラベル野生型HDLのSR-BI結合の各種HDL変異体による競合阻害を利用している。この阻害活性の検出感度を上げるため、野生型HDLにより多くのFITCを結合させる反応条件を開発した。この結果、FITCラベル野生型HDLのSR-BI発現CHO細胞への結合に伴うFITC蛍光強度上昇が約6倍に上昇した。また非ラベル野生型HDLを共存させるとその蛍光強度上昇は大きく低下し、新たに作製されたFITCラベル野生型HDLはSR-BI特異的な結合活性を保持していることがわかった。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)
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