研究課題/領域番号 |
24650265
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 健志 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (30249560)
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研究分担者 |
世良 俊博 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40373526)
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キーワード | 骨粗鬆症 / 全身性微振動 / 不規則性 |
研究概要 |
骨粗鬆症の有効な予防法として注目されている全身性微小振動刺激の骨量減少抑制効果における振動の不規則性の関与について,前年度の予備実験の結果に基づくプロトコルを計画し,実験を遂行した. マウスの右後肢坐骨神経を11週齢時に切除して廃用モデルを作製し,その12日後に振動負荷実験を開始した.マウスはS群,W群,S/W,F_fl群,A_fl群,C群の6つのグループに分けた(各n=8).Sには加速度振幅0.3g(振幅83μm),周波数30 Hzの正弦振動,WにはRMS振幅8.3μm,周波数帯域0-100Hzのホワイトノイズ,S/WにはSとWに負荷した振動の重畳振動を,F_flには1サイクル毎に周波数が20-50Hzの範囲で不規則に変動する加速度振幅0.3gの振動(振幅30-187μm),A_flには加速度が1サイクル毎に0.1-0.5gの範囲で不規則に変動する30 Hzの振動(振幅28-138μm)を,動電型振動試験装置により負荷した.Cについては振動台のケージに入れるのみで,振動負荷は行わなかった(Sham-loading).各群とも振動負荷は3週間,15分/日で毎日与えた.また,組織形態解析を行うために,振動開始日およびその11日後にカルセイン,振動開始日より2日後および18日後にテトラサイクリン,振動開始日より9日後および20日後にアリザリンレッドを,振動実験終了1時間後に腹腔内に投与した.2日後にマウスを安楽死させ,両脚の脛骨を採取し,固定後,μCTおよび顕微鏡観察のための試料を作製し,形態解析を行った. 骨量維持を示す指標は,S,W,F_flおよびA_flではCに比べ高値を示したが有意差は認められなかった.一方,S/WではCに比べ骨量維持指標は有意に高値を示したことから,正弦振動の周波数および加速度振幅の双方に不規則性を加えることで相乗的な骨量維持効果が期待できるものと考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初はμCTによる形態解析を主たる評価手法としていたが、前年度の予備実験の結果から解析の感度を上げる必要性が生じたため,新たに顕微的観察を加えることにした.その結果,振動の不規則性による骨量維持の増強効果に統計的有意さを認めることができ,最終年度の研究計画の見通しが立った.
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今後の研究の推進方策 |
非荷重性の骨粗鬆症については不規則振動の骨量維持効果が有効であることが確認できたが,加齢に伴う骨量減少にも有効であるか検証の必要がある.最終年度は,代表的な加齢性骨粗鬆症の一つである閉経後骨粗鬆症に着目し,マウス卵巣摘除モデルに対する不規則振動の効果について検討する.また,その薬物治療に利用されているPTHの効果との比較を行う.
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