本研究では人工心臓など体内埋め込み型治療機器が長期間にわたって人体に埋め込まれた場合において、「生体内電磁界被曝に関する定量的評価手法の確立」を目的とした。 研究行動を5ユニットに分けて、①「電気的等価回路による生体組織のモデル化」、②「生体内における電磁界分布シミュレーション」、③「体内埋め込み型電磁界発生システムの開発」、④「長期慢性動物実験による生体内電磁界曝露の影響に関する検討」、⑤「電磁界曝露を考慮した体内埋め込み型治療機器の設計指針の提案」とし、研究目的の早期達成を図るため可能な限り並列的に処理を行い、進行を管理した、 各段階については、①の段階においては、電気的等価回路による生体組織の基礎的なモデル化を行った。等価回路生体モデルは重要なパラメータであり、電磁界吸収等生体の電磁界曝露の基礎となるものである。②の段階においては、アナログホールICを利用した小型の三次元電磁界測定センサーを設計・試作し、生体内における電磁界分布シミュレーションの方法を調査研究した。当該センサーにより、測定環境の電磁界分布を乱すことなく、電磁界強度の測定が行え、マトリックス配置すれば、特定部位のみならず、広い領域の電磁界強度の同時測定も可能となる。③の段階においては、電磁界の強度、周波数、波形、印加時間等が生体に作用する影響について調査研究し、体内埋め込み型電磁界発生装置の開発について検討した。④の段階においては、人工心臓等体内埋め込み型治療機器が人体に埋め込まれた場合を想定して、体内埋め込み型電磁界発生装置を大型動物の体内に埋め込んだ場合に、発生する電磁界が生体組織に与える影響について、調査研究した。⑤の段階においては、得られた調査研究結果を基に、電磁界曝露を考慮した体内埋め込み型治療機器の設計指針について検討した。
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