研究課題/領域番号 |
24650271
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川下 将一 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (70314234)
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研究分担者 |
宮崎 敏樹 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 准教授 (20324973)
金高 弘恭 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50292222)
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キーワード | チタン / 窒素ドープ / 光触媒特性 / 生体活性 / 可視光応答 |
研究概要 |
人工関節置換術や脊椎固定術における術後感染は、最悪の場合インプラントの再置換が必要になり、患者の大きな負担となる。そこで、インプラント表面に抗菌性を付与し、感染症を予防すること目的とした研究が広く行われている。我々は体内蓄積の不安がない光触媒系の物質に注目した。光触媒系の物質の中でも、窒素ドープ型酸化チタンが可視光に応答して抗菌性を示すことが既にわかっているため、人工関節などに多く用いられているチタン金属表面に窒素ドープ型酸化チタンを導入することを試みた。また、その金属のアパタイト形成能を評価した。 10×10×1 mm3 のチタン金属を#400のダイヤモンドシートで研磨した後、アセトンおよび超純水で10分間超音波洗浄した。これを5M NaOH水溶液5 mlに60℃で24時間浸漬した後、0.1~1.0M 硝酸あるいは尿素7 ml に40℃で24時間浸漬した。その後試料を600℃で1時間加熱した。 チタン金属にNaOH処理を施すと表面にチタン酸ナトリウムが形成した。この試料に硝酸(0.1~1.0M)処理および加熱処理を施すと、試料表面にルチル型酸化チタンが形成した。また、0.1Mで硝酸処理を施した試料のみアナターゼ型酸化チタンも形成した。また、硝酸処理によって窒素原子がわずかに導入されていた。SBF中でのアパタイト形成能評価を行った結果、0.1Mで硝酸処理を行った試料のみアパタイトが形成した。また、同試料は、可視光下において少量のメチレンブルー(MB)を分解した。 一方、チタン金属にNaOH、尿素(0.1~1.0M)および加熱処理を施すと、尿素の濃度にかかわらず全ての試料表面にルチル型およびアナターゼ型酸化チタンが形成したが、可視光照射によるMB分解反応は確認できなかった。 以上より、NaOH処理後に硝酸処理を施すことでチタン表面に窒素原子が導入された酸化チタン層を形成させることができ、同処理チタンは可視光下での光触媒特性を示すことがわかった。
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