研究課題/領域番号 |
24650272
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金高 弘恭 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50292222)
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研究分担者 |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
清水 良央 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30302152)
工藤 忠明 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50431606)
川下 将一 東北大学, 大学院医工学研究科, 准教授 (70314234)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | バイオマテリアル / 骨伝導能 / 医工学 |
研究概要 |
本研究では、生体材料への骨タンパク質吸着に着目し、その吸着特性を考慮した新しい骨伝導能評価システムを確立することを目的とした。これまでの先行実験で、タンパク質の吸着量自体が必ずしも材料の骨伝導能と相関しないことがわかっており、タンパク質のコンフォメーション(立体配座)を踏まえ、材料への吸着特性を医工学的な観点から解明することとする。 当該年度には、ハイドロキシアパタイトやチタンなど骨伝導能を有する生体材料に対し、オステオカルシンおよびオステオポンチンの吸着挙動について、吸着量だけでなく、材料表面におけるタンパク質の立体コンフォメーション状態の違いを検討しつつ、その差違を明らかにするための実験を行った。 具体的には、まず第一に、①BSA含有10 mM NaCl水溶液、②オステオカルシン含有10 mM NaCl水溶液、③オステオポンチン含有10 mM NaCl水溶液にハイドロキシアパタイトおよびチタン粉末を浸漬することによるタンパク吸着実験を行った。ブラッドフォード法により、各種吸着タンパク量の定量を行った後、骨タンパク質吸着特性を解析するために、プロテアーゼ限定分解を行った。分解の際、酵素の濃度、反応時間、温度といったパラメータをコントロールすれば、タンパク質中の特定の部位が切断されたフラグメントを生成し、かつそのようなフラグメントは生体材料表面での結合様式の違いを反映したものとなっている。このようにプロテアーゼ限定分解により生成されたフラグメントを質量分析で解析することにより分解部位の特定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究実施計画については、ほぼ予定通り完了しており、年度内の到達目標は、ほぼ達成していると考えられるため。 今後は、得られたデータをまとめて、学会発表や論文投稿に繋げていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に得られた結果を基にして、継続して下記の研究を行う予定である。 1)細胞培養実験による骨伝導能評価-サンプルの骨形成能について細胞学的および分子生物学的手法により評価する。①細胞周期:フローサイトメーターを用い、細胞周期の変化を測定,②細胞毒性:LDH (ラクターゼデヒドロゲナーゼ)やトリパン・ブルーにより細胞傷害を評価,③細胞増殖:DNA量の定量により細胞量を評価,④細胞代謝活性: アラマーブルー試薬の呈色反応 により評価,⑤骨芽細胞分化の評価:マーカー遺伝子発現量・アルカリホスファターゼ活性の定量・石灰化結節形成の定量 2)ラットを用いた骨形成評価-ラットの頸骨に埋入されたインプラント周囲骨形成および骨結合力に関し、次のような医工学的手法による評価を行い、各種種材料の骨伝導能について評価する。 (1)インプラント周囲骨形成の評価:①マイクロCTによる周囲骨の評価(皮質骨厚さ,骨密度,骨梁構造,インプラント-骨接触率),②非脱灰標本(ヴィラヌエバ染色)による評価(新生骨と成熟骨の面積,局在),③脱灰標本(10%EDTA)による評価(骨芽細胞,破骨細胞の数,局在) (2)インプラント-骨結合力の評価:上記、形態計測学的および組織学的評価に加え、インプラント-骨結合力を評価するために、インプラント引き抜き試験を行い、各種材料の骨結合力の評価を行う。 3)新しい骨伝導能評価システム確立-前年度の実験により、生体材料への吸着量だけでなく、プロテアーゼ限定分解と部位特異的化学修飾によるコンフォメーションを考慮した骨タンパク吸着特性について各種材料ごとに解明されているが、これらの結果と、細胞培養実験およびラットを用いた動物実験の結果との相関性を明らかにすることで、生体材料に対する新しい骨伝導能評価システムを確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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