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2012 年度 実施状況報告書

刺激応答分解型エナメル質接着性ポリロタキサンによる歯科矯正用レジン接着剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24650274
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

由井 伸彦  東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70182665)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード歯科材料
研究概要

本研究の目的は超分子の刺激応答機能を応用することにより、容易にデボンディングが可能な歯科用接着材料料を開発することである。即ち、治療開始時の歯質へのブラケット装着時には強い力で接着し、治療終了時には分子が刺激応答により超分子解離開裂を生じることにより接着力が低減し、容易にデボンディングしうる機構を実現することを目指している。そのため末端分解性官能基(ジスルフィド結合)を有するポリエチレングリコールを合成し、アルファーシクロデキストリンと複合させることで、末端分解性ポリロタキサンの合成を行った。そのうえ接着成分を有するドーパミンのアミングループをシクロデキストリンの水酸基とカルボジイミダゾールを媒介にカップリングさせ、ドーパミン導入型ポリロタキサンの合成を試みた。ドーパミン含有ポリロタキサンの非極性溶媒及び極性溶媒への溶解性を増進させるため疎水性官能基であるブチル基及び親水性官能基である三級アミン基をそれぞれ導入し、様々な溶媒に対応できるドーパミン含有の接着性ポリロタキサンの合成を行った。その結果、ブチル基が導入されたドーパミン含有ポリロタキサンはアセトンに溶解し、三級アミンの導入されたドーパミン含有ポリロタキサンはメタノールに溶解することが確認され、歯科用接着材の応用に一般的に使用されているアセトン及びアルコール溶解性の接着官能基導入型ポリロタキサンの合成に成功した。合成したポリロタキサン溶液にDTTを加え、ポリロタキサンの分解特性をGPCで確かめた結果、DTTの添加後分子量の低下がみられ、分解性ポリロタキサンの特徴が確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の研究計画は接着性成分を有するポリロタキサンの合成ルートの確保であり、現在その目的をほぼ達成し、次の物性評価のステージに進む段階である。

今後の研究の推進方策

今年度は前年度まで合成ルートが確立されたドーパミン含有分解性ポリロタキサンに対し、刺激をもとにした開裂の有無による接着強度等の物性変化を評価する予定である。接着性官能基、末端置換基及びその他補助機能を示す置換基を導入し、さらに必要に応じてPRX中のPEG分子量やCD数を制御することによって接着強度調節の面でPRX分子の最適化を図る予定である。
具体的には市販の粒径10μm程度のシリカフィラーと有機溶媒中で混合させ、ドーパミンの接着力を誘発させた後、硬化特性及びDTT添加後の引っ張り試験とヤング率の変化などを調べ予定である。市販の接着レジンと比較することで、レジン硬化の最適化を行い、必要に応じてシリカフィラー粒径の変更やシクロデキストリンの貫通率の調節などを通じて分子構造を最適化する予定である。

次年度の研究費の使用計画

新規材料の合成及び分析に関する一連の試薬及び消耗品の経費支出が予想される。主な項目としては、接着性モノマーと様々なポリロタキサンの合成に必要な試薬、有機溶媒及び触媒購買への支出と触媒の購入が必要と予想される。更には、合成に必要なガラス器具と合成の評価のための測定装置への消耗品に関する経費が支出されると予想される。
合成後の物性評価に必要な消耗品及び装置の購入が必要とされる。具体的には接着強度及び分解性評価のための引っ張り試験機の維持管理費用などが必要とされる。エナメル質への接着・崩壊特性を評価するため牛歯接着実験に必要な消耗品及び牛歯サンプルの調達費なども必要とされる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 培養細胞を用いた歯科用レジン成分の感作性評価2012

    • 著者名/発表者名
      片岡いづみ、田村篤志、由井伸彦、松村光明、三浦宏之
    • 学会等名
      日本補綴歯科学会東京支部総会
    • 発表場所
      東京(京成ホテル)
    • 年月日
      20121118-20121118

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公開日: 2014-07-24  

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