研究課題/領域番号 |
24650274
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
由井 伸彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70182665)
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キーワード | 歯科材料 |
研究概要 |
歯科矯正用ブラケットなどに用いられる接着剤及び硬化体に、刺激応答型分解特性を持たせるため分解性ポリロタキサンを合成し、容易にデボンディング可能な接着レジンの開発を目指している。ポリロタキサンは優れた分解特性を有しているものの、極性溶媒及びレジンモノマーとの相溶性が悪く、均一に混合できない短所がある。そのため今年度ではポリロタキサンに接着性官能基を導入すると同時に様々な2次官能基を導入することで、従来のレジンモノマーとの相溶性の確保が可能な分解性ポリロタキサンの合成に集中してきた。その結果、一般の歯科用接着剤に用いられている2-ヒドロキシエチルメタクリレートなどのモノマーと均一に混合可能な分解性ポリロタキサンの合成に成功した。具体的にはレジンモノマーとの重合が可能なメタクリレート基を有すると同時に、疎水性を高めるためn-ブチル基をシクロデキストリン1個当たり6個以上導入したところ、様々なレジンモノマーと良好な相溶性を見せていることが確かめられた。合成したポリロタキサンサンをレジンモノマーと混合し、硬化体の形成及び刺激応答型破裂特性をビッカース硬度測定にて評価を行った。その結果、刺激応答型分解性ポリロタキサンを混合したサンプルでは良好な硬化体形成が見られたものの、還元剤を添加しポリロタキサン架橋体を分解させるとビッカース硬度がおよそ30%程度に低下していることが確認され、刺激応答型デボンディング剤の開発可能性を確かめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた分解性ポリロタキサンの構造では、一般の歯科矯正用接着レジンモノマーとの相溶性が悪く、均一な混合が不可能であることが判明し、新たな分子設計による合成に取り込んでいた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は前年度まで合成ルートが確立された分解性ポリロタキサンの大量合成に取り込み、実際矯正現場で用いられている接着性レジンとの相溶性確保及びデボンディング特性の最適化のための混合組成などを積極的に検討していく予定である。 具体的には市販の粒径10μm程度のシリカフィラーとレジンモノマーとともに混合させ、硬化特形成能力性及びDTT添加後の引っ張り試験とヤング率の変化などを調べ予定である。市販の接着レジンと比較することで、レジン硬化の最適化を行い、必 要に応じてシリカフィラー粒径の変更やシクロデキストリンの貫通率の調節などを通じて分子構造を最適化する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
事務手続き上、次年度の使用額になった事が理由として挙げられる 次年度の消耗品に計上する予定です。
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