歯科矯正用接着剤の開発を最終目的として、刺激応答分解型エナメル質接着性ポリロタキサンを設計し、それに基づいて作製したレジン様硬化体の刺激添加前後での力学特性変化を解析した。CD数50、末端にジスルフィド結合を導入した還元応答分解型ポリロタキサンを合成し、これにアクリロイル基およびn-ブチル基を導入した。このポリロタキサンはレジンモノマーである2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)に相溶した。HEMAとの混合物の光重合によってレジン様硬化体を作製した。この硬化体は還元剤添加の前後でビッカース硬度が著しく変化し、刺激応答分解型歯科矯正用接着剤としての応用可能性が高いことが明らかとなった。
|