細胞表面に提示されているガングリオシドであるGM3やGM1に結合性を有するペプチドを結合したバイオコンジュゲートを作製した。ひとつはアジド化ペプチドをリン脂質とクリック反応で結合したペプチド脂質であり、もうひとつはビオチン化ペプチドである。ペプチド脂質はリポソームに組み込み脂質表面に提示させた。あるいは、ビオチン化ペプチドはアビジンとのABC複合体として作製した。 GM3結合性ペプチド脂質を用いてペプチド鎖をリポソーム表面に提示させた。ペプチド提示リポソームを蛍光プローブで一部標識をしておき、COS7細胞との相互作用を検討した。その結果、100nm以下のサイズのリポソームが細胞に取り込まれやすく、ラフト/カベオラ介在型エンドサイトーシスで取り込まれている事が示された。一方、クラスリン介在型のエンドサイトーシスはほとんど生じていない事が示された。 さらにGM1結合性のペプチドを用いたABC複合体を用いて細胞との相互作用を検討した。4種の細胞にp3ペプチド複合体を投与したところ、GM1の発現量と関係して細胞の種類に応じた取り込みが見られた。例えば、COS7細胞では、コントロール配列のcp8ペプチド複合体と比較してp3ペプチド複合体ではペプチドの濃度依存的に有意な結合量が見られた。また、p3ペプチド複合体と細胞との相互作用時間を検討したところ、相互作用時間が短いと主に細胞表面と相互作用し、相互時間が長くなるに伴い細胞内へ取り込まれた。最後に取り込み経路をCLSMで観察した結果、COS7細胞においては主にカベオラ/ラフト介在エンドサイトーシスで、一部はクラスリン介在エンドサイトーシスで取り込まれており、リソソームへの移行は少なかった。
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