• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

痛くないワクチンによる抗がん治療

研究課題

研究課題/領域番号 24650284
研究機関京都薬科大学

研究代表者

小暮 健太朗  京都薬科大学, 薬学部, 教授 (70262540)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード癌ワクチン / ナノ粒子 / イオントフォレシス / 経皮投与
研究概要

平成24年度は、(1)皮層上部に限局的に抗原/アジュバントを送達できる技術の確立と(2)ランゲルハンス細胞への効率的な抗原提示の確認、を計画しており、これらについて検討をおこなった。(1)については、連携研究者が開発した正電荷を有するPEG化ナノゲル表面に抗原ペプチドを担持させるため、ヒトメラノーマ抗原ペプチドhgp100(25-33)の末端にグルタミン酸配列を付与した蛍光(緑)標識化ペプチドを委託合成した。ペプチドを蛍光(赤)標識化ナノゲルと混合することで表面に結合されることを確認し、マウス皮膚上でイオントフォレシスに供した後、切片を共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、皮膚表層領域に赤と緑の蛍光が共局在していることが確認されたことから、皮膚上部に限局的に抗原を送達可能な技術の確立に成功したと考えている。一方、ランゲルハンス細胞に関して、抗MHCII抗体を用いて免疫染色することで、皮膚中のランゲルハンス細胞の存在の確認を検討した。免疫染色の条件検討に時間を費やしたが、コントロール皮膚において、ランゲルハンス細胞と思われる細胞の検出技術を確立することができた。この免疫染色技術を利用して、無処理皮膚、ナノゲルのみのイオントフォレシス処置後の皮膚および抗原ペプチド/ナノゲル複合体をイオントフォレシスした皮膚におけるランゲルハンス細胞を評価した。免疫染色陽性シグナルは、無処理皮膚およびナノゲルのみのイオントフォレシス処理皮膚でも見られたが、抗原ペプチド/ナノゲル複合体のイオントフォレシス処理皮膚においては、より強力な陽性シグナルが検出された。このことから、抗原ペプチド/ナノゲル複合体をイオントフォレシスし、皮膚上部に限局的に存在させることにより、免疫担当であるランゲルハンス細胞を活性化できることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度に計画していた、(1)皮層上部に限局的に抗原/アジュバントを送達できる技術の確立および(2)ランゲルハンス細胞への効率的な抗原提示の確認を検討し、抗原ペプチド配列にナノゲル表面に結合できる工夫を施すことにより、抗原ペプチド/ナノゲル複合体の構築に成功し、さらにそれをイオントフォレシスに供することで予想通り抗原ペプチドを皮膚上部に限局的に送達することに成功した。このシステムを用いて処理した皮膚について、ランゲルハンス細胞に対する免疫染色を行ったところ、イオントフォレシスを行った皮膚にランゲルハンス細胞が集まってきている様子が観察されたことから、抗原ペプチド/ナノゲル複合体のイオントフォレシスによって当初計画通り、皮膚免疫の活性化が達成されたと考えるため、おおむね順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

平成25年度は、申請通り(1)高効率での細胞性免疫の誘導および(2)がんペプチドを抗原とすることでの高い抗腫瘍効果の誘導、を検討する。当初は、細胞性免疫誘導の確認の後、抗腫瘍効果を検討するつもりであったが、スピードアップのために、まず担がんマウスに抗原ペプチド/ナノゲル複合体を投与し、現システムが抗腫瘍効果を有しているのかを検証し、その結果に基づいて、システムの最適化を目指して、免疫誘導の詳細検討を行い、改良されたものについて、最終的に抗腫瘍効果を検討することで、年度内にシステムの完成を目指す。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は、上述のように動物を用いた抗腫瘍効果の検討と、ELISAを用いての細胞性免疫の検討が主になるため、実験動物購入費、ELISA等アッセイ試薬購入費および抗原ペプチド委託合成費等の物品費に使用する予定である。さらに、ナノゲルに関する研究打ち合わせおよび研究成果の発表のために旅費を今年度並みに予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 表皮局在型ワクチンデリバリーシステムの開発2012

    • 著者名/発表者名
      豊田真央、塩田佳菜子、三上綾、土谷博之、長崎幸夫、濱 進、小暮健太朗
    • 学会等名
      第62回 日本薬学会近畿支部総会・大会
    • 発表場所
      兵庫県西宮市
    • 年月日
      20121020-20121020
  • [学会発表] 表皮貯留型がんワクチンデリバリーシステムの開発2012

    • 著者名/発表者名
      豊田 真央、吉冨 徹、長崎 幸夫、濱 進、小暮 健太朗
    • 学会等名
      日本薬剤学会第28年会
    • 発表場所
      愛知県名古屋市
    • 年月日
      20120523-20120525

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi