研究課題/領域番号 |
24650288
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
辻田 哲平 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40554473)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 手術計画 / 脳神経外科 |
研究概要 |
脳神経外科手術においては,慎重に脳裂を剥離しながら脳深部に存在する腫瘍などの病変に到達する必要がある.本研究では,医用画像診断装置によって得られた病変位置に対して,脳組織を傷つけずにかき分けて到達できる最適な経路を自動的に生成することを目標としている. 本年度は,研究の初期段階として脳の模型を三次元レーザースキャナでコンピュータ上に取り込み,前頭葉および頭頂葉と側頭葉を分ける脳溝であるシルビウス裂を開放可能な脳の三次元構造モデルを作成した.また,この脳モデルを用いて脳組織の物性値を反映した変形や応力を高速に計算可能なプログラムを開発した. 脳溝をかき分けて深部に到達する経路(かき分ける空間)を導出するためには,経路と脳溝内部の組織の接触判定が必要となる.本研究においては,経路を逐次二次計画法等を用いて最適化することを検討しているが,このような数理計画法を用いた場合,接触判定及び変形計算を繰り返す必要があり,接触判定にも高速性が求められる.しかし,溝を有する脳は非凸包体であり,一般的に正確に接触を判定するは難しく,計算コストも高い.そこで,本研究では,接触履歴情報を利用し,非凸包体においても適切に接触を判定可能なアルゴリズムを開発した.intel社製CPU(Central Processing Unit) Core i7-3960X(4.8GHz)を用い,脳モデル表面の三角形要素の数が12,608個,接触対象物のノード数が500個の状況において,1ループあたりの時間は約1秒であった.さらに高速に実行するために,nVidia社製GPU(Graphics Processing Unit) Tesla K20を用いたプログラムを開発したところ,0.1秒程度で計算できるようになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高速に生体組織の変形を計算可能なソフトウエアを開発し,新たに提案した接触判定手法を実装した.これらは,最適経路生成ソフトウエアのコアとなるものであり,おおむね順調に開発が進んでいると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度開発したソフトウエアと最適化計算ライブラリを組合せ,最適経路生成ソフトウエアを実現する.このソフトウエアで得られた最適経路を脳の硬さを模擬した模型等で妥当性を検討する.また,人間の断層画像等を用い,より詳細な脳モデルの作成を検討する.より効率的にこれらの研究を遂行するために,平成25年度に研究分担者を3名加え,研究を加速する.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に執行したことにより未使用額が生じたものであり,平成25年度請求額とあわせて,平成25年度の研究遂行に使用する予定である.
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