研究課題/領域番号 |
24650295
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
松本 健郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30209639)
|
研究分担者 |
長山 和亮 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10359763)
杉田 修啓 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20532104)
矢口 俊之 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (70385483)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | バイオメカニクス / 動脈硬化 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / FMD |
研究概要 |
血圧計測時の圧平が血管壁に与える影響を調べるために,2年間にわたる研究を進めている.研究初年である本年度は,主にヒト上腕動脈を対象とし,様々な年齢・性別の被検者について,現有するFMD/PMC計測装置を用い,内皮機能の指標としてFMD値,平滑筋機能の指標としてPMC値を血圧測定操作を模擬した血管圧平の前後で計測した.具体的には,上腕にFMD/PMC計測装置の密閉容器を装着し,末梢の前腕部をカフで5分間駆血し,血流を再開した後の上腕動脈の径拡張量を測定した(FMD計測).次に密閉容器内に陰圧をステップ状に負荷して上腕動脈を拡張させた後,上腕動脈の径収縮量を計測した(PMC計測).この後,一旦,密閉容器を取り外し,血圧計測を模擬した血管圧平を行った.即ち,上腕部にカフを巻き,カフ圧を収縮期血圧と拡張期血圧の平均圧で30心拍保持することで血管を圧平した.その後,再び,容器を装着してFMD計測とPMC計測を行った.以上より,血管圧平前後でのFMD値,PMC値の変化を比較した.その結果,何れの被験者においても,FMD値は血管圧平により半減したが,20歳代の学生3名では24時間後には元のレベルに戻っていることが判った.一方,35歳より上の被験者3名ではFMD値の回復に4日程度を要することが判った.一方,PMC値については血管圧平に伴う低下や上昇は見られなかった.これより,血管圧平によりFMD値が低下すること,この回復には年齢により差が有ることが示唆された. また,家兎総頸動脈でin situにてFMDを再現する実験系の確立についても検討を開始し,血管を周辺組織から剥離して血管径を明瞭に観察する方法,血管を動かさずに血流を途絶・再開させる方法,血管にカフを巻いて圧平する方法などを確立したが,まだ明瞭なFMD現象の再現には至っていない.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトでの上腕動脈圧平前後でのFMD/PMC値変化の計測に関しては,研究開始当初の実験担当者の不慣れもあり,データ数が余り多くは得られていないが,翌年度進める予定であった家兎総頸動脈を用いたFMD再現実験が相当程度進んで居るから.
|
今後の研究の推進方策 |
ヒト上腕動脈圧平前後でのFMD/PMC値の変化に関し,データの蓄積を計る.その後,現状の血管圧平プロトコルは実際の血圧計測よりも圧平回数が多い可能性があるので,プロトコル変更し,通常の血圧測定を行った場合にどうであるのか,調べる. 家兎総頸動脈におけるFMD応答の再現実験に関しては,血管周囲を満たす液体の温度が低下しないよう更に加温系を工夫したり,剥離量を減らすなどの工夫をしてFMD現象が再現されるようにする.その後,血管圧平後の内腔名をSEMで観察するなど予定した観察を進める.
|
次年度の研究費の使用計画 |
4000円弱と小額であるので,来年度に合算使用する.
|