研究課題
蛍光標識による分子イメージングは,生物学・医学分野において,生命機能や疾患メカニズムを細胞レベル,分子レベルで解明するために必要不可欠な技術である.特に,生体組織深部の蛍光イメージングは,生体組織中で起こる光の散乱や吸収,さらには屈折率が異なる媒質の界面で生じる収差などによる像の劣化のため困難であり,また顕微鏡下における観察では,対物レンズの作動距離による制約があるために,その実現には解決すべき技術的な課題が多い.そこで,2光子励起蛍光や第2次高調波発生,第3次高調波発生などの非線形光学効果を利用したイメージング技術を応用することで,生体組織深部で鮮明な画像を得ることが可能である.本研究では,特に医療現場での治療や診断を見据えた深部イメージングの実用化に向けた挑戦として,顕微鏡による計測だけでなく,内視鏡との組み合わせによる新しいイメージング技術の開発を目標としている.そこで,内視鏡応用のための要素技術として,新たに開発した画像伝送素子である中空ファイババンドルを非線形光学イメージングに応用した.その結果として,既存の2光子顕微鏡とカップリング光学系を構築し,生体試料の画像取得に成功した.具体的には,中枢神経細胞に黄色蛍光蛋白質が発現している遺伝子組換えマウスの脳組織の神経細胞や,マウス大腿骨の骨基質中のコラーゲンの第2次高調波発生のイメージングが可能となった.本研究で開発したイメージング技術は,その実用化のためにはさらなる空間分解能の向上や高感度化が必要であるが,中空ファイババンドルそのものや,カップリング光学系の改良,種々の生体組織へ応用を積み重ねていくことによって,実用化につながることが期待される.
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