研究課題/領域番号 |
24650298
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
掛地 吉弘 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80284488)
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研究分担者 |
富川 盛雅 九州大学, 大学病院, 准教授 (60325454)
池田 哲夫 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60585701)
長尾 吉泰 九州大学, 大学病院, その他 (70608968)
前原 喜彦 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80165662)
橋爪 誠 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90198664)
神代 竜一 九州大学, 大学病院, その他 (10631591)
沖 英次 九州大学, 大学病院, 助教 (70380392)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コンピュータ外科学 |
研究概要 |
1) 拡張現実感(Augmented Reality)表示システムの開発 MRI で同定したボリュームデータを腹腔鏡の視野に重畳表示する拡張現実感表示ナビゲーションシステムを構築した。MRI ボリュームから高速に腫瘍や脈管を高速に抽出 (セグメンテーション)する技術は既に開発済みであり、これらを応用発展させている。特にMRI のボリュームデータを手術室で患者の座標系にレジストレーションする手法については、光式センサを座標系の基準に用い、患者の体表に付けたマーカーを参照点としたレジストレーション手法を実際の手術室環境で用いて精度評価・改良を行った。 2) 超常磁性酸化鉄製剤(SPIO)を用いたOpen MRI での胃癌センチネルリンパ節画像獲得 実験はファントムおよびブタを用いて行った。Open MRI 装置は九州大学に実験用で設置している0.3T AIRIS-II(日立メディコ製)を用いて行った。本装置は、既に手術室の環境を備えていることがメリットである。これまでにPreliminary な実験としてブタに小開腹をおき、胃前壁を切開し、粘膜下にSPIO 原液を注入し、MRI にて注入部近傍のリンパ節に信号変化が検出された。基礎的検討から動物実験を経て以下のデータを得ている。 1) ファントムでの基礎検討で超常磁性酸化鉄(SPIO, Resovist)1000倍希釈、MRIはT2強調、高速スピンエコーの条件にて脂肪とのコントラストが最大となった。2) ブタを用いたin vivoでの検討では胃粘膜下にSPIOを注入し20分後に、MRIにて5mm大のリンパ節が低信号に描出された。術中ナビゲーションシステムを構築し、腹腔鏡下にリンパ節生検が可能であった。3) 腹腔鏡下胃切除術を施行した胃癌7症例で術中にナビゲーションを行い、センチネルリンパ節を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は画像診断技術を内視鏡外科手術に取り入れ、ナビゲーション手術を確立・発展させることを目的としている。超常磁性酸化鉄製剤(SPIO)を用いたOpen MRI 画像での胃癌のセンチネルリンパ節およびリンパ節ネットワークを画像構築し、腹腔鏡での実視野画像に重畳して郭清すべきリンパ節の位置を示してくれるナビゲーションシステムの確立を目指している。これまでに、1) 拡張現実感(Augmented Reality)表示システムの開発:MRI で同定したボリュームデータを腹腔鏡の視野に重畳表示する拡張現実感表示ナビゲーションシステムを構築した。2) 超常磁性酸化鉄製剤(SPIO)を用いたOpen MRI での胃癌センチネルリンパ節画像獲得:実験はファントムおよびブタを用いて行った。Open MRI 装置は九州大学に実験用で設置している0.3T AIRIS-II(日立メディコ製)を用いて行った。 表示システムの開発、構築は終わり、動物を用いた基礎実験も進んでいる。データの検証、改良を重ね、臨床への応用を展開していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
MRI で同定したボリュームデータを腹腔鏡の視野に重畳表示する拡張現実感表示ナビゲーションシステムを構築し、ファントムおよび動物を用いて超常磁性酸化鉄製剤(SPIO)を用いたOpen MRI での胃癌センチネルリンパ節画像を獲得している。精度評価・改良を行った最適条件で、実臨床での症例検討を重ねる。充分なインフォームドコンセントの下に腹腔鏡下胃切除術においてヒト胃粘膜に内視鏡にてSPIO を注入し、MRI撮影を行う。本手法の有効性を明らかにするために以下の検討を行う。 ①リンパ系の可視化に関する検討: SPIOの濃度変化と撮像条件の検討;至適濃度のSPIOを投与し、投与後の経時的変化を明らかにする。MRI造影剤の投与効果の検討、支配リンパ節(センチネルノード)の可視化の検討を行う。 ②腹部MRI撮像条件設定:低磁場MRI装置によるDiffusion Imagingによる腹部リンパ経路の可視化を試みる。 ③リンパ節検出率の組織学的検討:郭清した切除リンパ節を用いてリンパ節のMRIデータを取得し、検出リンパ節を詳細に検討する。同時に、SPIOを取り込んだリンパ節の組織学的検討。MRIによるリンパ節直径と組織の対比をし、実臨床での本手法によるリンパ節検出率を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究を遂行する上で必要な設備として、Open MRI、MRI 対応手術台および手術機器、光学式位置センサ、超音波内視鏡プローブなど、主に現有する機器、施設を用いて行う予定である。 動物実験を行うため、動物購入、飼育費を設定した。 その他に本研究の研究成果発表、論文投稿のための経費を算定した。
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