研究課題/領域番号 |
24650300
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
植野 彰規 東京電機大学, 工学部, 教授 (20318158)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 非侵襲計測 / 自律神経 / ラプラシアン電極 / 高入力インピーダンス / 筋交感神経 / 神経工学 |
研究概要 |
研究計画に沿って、外径9mm、電極間隔0.6mmの小型リング型ラプラシアン電極を製作した。体表面との接触により生じるバイアス電圧を抑えるため、電極表面には銀/塩化銀を塗布した。裏面にはインピーダンス変換を行うバッファ回路を実装し、能動電極とした。高入力インピーダンスのバッファ回路を実現するため、バッファ回路用のICには入力抵抗10TΩ、入力容量2pFの低ノイズOPアンプを使用した。製作した電極は、前年度に製作した低雑音生体用アンプに接続した。 計測系の雑音特性を調べるためにロックインアンプを購入した。計測系の雑音評価を行った結果、参照信号を計測するための心電計や筋電計からのループ電流が雑音源となっている可能性が高いことが判明した。ループ電流の混入を防ぐため、主信号の計測系にアイソレーションアンプを導入した。導入の結果、雑音レベルが減少することを確認した。また、雑音レベルの経時変化から、電極と生体との接触面の間隙からも雑音が混入している可能性が示唆された。電極接着時に皮膚への前処理として生理食塩水を塗布することで、初期雑音が減少することを確認した。 被験者への課題をハンドグリップからバルサルバに変更し、予備実験を行った。また、参照信号として連続血圧を追加した。実験の結果、数百μVの振幅と2ms程度の時間幅を持つ二極性あるいはメキシカンハット型のスパイクが、100~200ms間隔で連続発生するスパイクトレインとして、複数被験者にて確認された。各スパイクの形状は、過去にマイクロニューログラフィーで計測された自律神経活動のスパイク波形と類似していた。何らかの神経活動を非侵襲的に計測できている可能性が高いと考えられる。ただし、バルサルバ試験と関係ないタイミングで発生したスパイクトレインも観測されており、マイクロニューログラフィーとの同時計測が必要であるとの結論に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に計画していた、①小型電極の製作、②雑音の低減、③予備実験の実施 の全てが完了した。また、期待していたスパイクトレインの検出にも成功し、各スパイクの波形が過去に報告されているマイクニューログラフィーの検出波形に類似していたことから、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度に発表した学会でのディスカッションで、関連研究者から「マイクロニューログラフィーとの同時計測の必要性」を強く指摘された。そこで、別の学会にてマイクロニューログラフィーのエキスパートを訪ね、共同実験を依頼し、承諾を得ることができた。当該大学での倫理審査も承認が得られたことから、平成25年度は、当初の計画(バルサルバ実験と解析)に加えてマイクロニューログラフィーとの同時計測実験も行う計画である。ポジティブな結果が得られ次第、学術論文あるいは国際会議での発表を準備する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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