研究課題
本研究では、運動機能障害を伴う神経疾患における複雑な脳内の病態を運動制御の観点からわかりやすく評価できる「神経疾患治療補助システム」の構築を目的とする。そのため我々の開発した手首運動による定量的運動機能評価システムを神経疾患治療補助システムとして活用し、これまで研究の協力病院である東京都立神経病院と東京医科大学八王子医療センター、関東中央病院の入院患者の協力を得て、37名の小脳疾患患者と118名のパーキンソン病患者から手首関節による指標追跡運動を行い、異なる周波数領域から予測制御とフィードバック制御の成分を分離して分析し、「神経疾患治療補助システム」のデータベースとして活用している。特に小脳変性症の指標追跡運動を予測制御とフィードバック制御の観点から分析した結果、予測制御の精度は小脳疾患の重症度に応じて悪くなっていることに対し、フィードバック制御に関しては重症になってからフィードバック制御の精度も悪くなっていることから、小脳が予測制御により深く関係していることが明らかになり、この研究内容を論文投稿準備中である。さらに、パーキンソン病患者ではこの並列制御器(予測制御とフィードバック制御)だけでは病態の特徴がはっきり抽出できなかったが、さらに3Hz以上の不随意運動領域(振戦領域)をもう一つの制御領域として分析に加えて分析した結果、6Hz前後(4-8Hz)の小刻みな階段状運動の定量的計測によりパーキンソン病患者の病態をより高精度で評価できることが認められ、その内容を国内特許出願(特願2013-095173)や学会(第7回 Motor Control研究会、Neuro2013)に報告した。また、小脳疾患における運動制御器の病態を筋活動レベルから評価でき、その内容を国際発表論文誌(Conf Proc IEEE Eng Med Biol Soc2013)に発表した。
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Conf Proc IEEE Eng Med Biol Soc
ページ: 902-905