研究概要 |
当研究は高磁場MRIによる心臓リハビリ患者の心機能等の正確な非侵襲的定量評価法を、先駆けて開発する事を目指す。MRI 検査において、撮像中に人体の温度が局所的に上昇することがある。その原因は、ラジオ波(Radio Frequency:RF)により人体に吸収されて熱となる、比吸収率(Specific Absorption Rate: SAR)の影響である。このSAR規制は、従来のMRI装置では問題にならなかったが、高磁場MR装置は、RFパルスの周波数も倍増するため、温度上昇が重要な問題となっている。 そこで本年度は、高磁場MRI装置におけるSARに伴う温度上昇の計測システム開発に関する基礎的検討を行った。 SARによる温度上昇を計測するシステムを独自に開発するため、非磁性体プローブを種々検討し、リアルタイムに温度計測が可能なMRI検査中の温度計測システムの構築を試みた。その結果、非磁性体プローブのセンサーとして、熱電対を用いることで、MRI検査中の温度計測が可能であることが分かった。非磁性体プローブは、熱電対センサーおよび長尺の非磁性体ケーブルからなり、その信号を、MRI検査室外にてリアルタイムモニターするシステムを構築した。予備実験の結果、試作した「非磁性体プローブを用いたリアルタイム温度計測システム」は、MR撮像中における高磁場MRI装置ガントリー内における温度測定が十分可能であることが確かめられた。さらに、当リアルタイム温度計測システムの非磁性体プローブは、高磁場MRI装置におけるMR画像に悪影響をほとんど与えないことが示唆された。さらにこの結果を踏まえて、ファントム実験などの次の実験ステップへ移行するために、熱電対センサー部分等を、絶縁コーティングするなどの改良を行った。 [研究協力者] 東北大学臨地講師 永坂竜男主任技師(東北大学病院MRI室主任,MRI専門認定技師)
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