研究課題/領域番号 |
24650311
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
竹内 真太 浜松医科大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (10599898)
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キーワード | 位相同期 / 心拍リズム / 歩行リズム / 虚血性心疾患 / 心不全 / トレッドミル歩行 |
研究概要 |
本研究の目的は、運動中において有益な作用を持つと推測されている心拍リズムと運動リズム間の同期現象が、心機能が低下している心疾患患者の運動中においてどのような生理学的作用を示すのか検証し、心疾患患者に対する効果的な運動療法の開発に貢献することである。 今年度は、心疾患患者における心拍-運動リズム間の同期現象を誘発した際の生体反応を確認するため、虚血性心疾患患者5名のデータを測定した。同期現象を誘発した歩行の生体反応は通常歩行と比較することで検証した。対象者はトレッドミル上を通常歩行の速度で歩行し、自らの通常歩行時の歩調に設定したリズム音と、心拍計からの心拍同期音に設定したリズム音のそれぞれに歩調を合わせた歩行を行った。心拍-運動リズム間の位相同期の発生が確認できた対象者では、酸素脈、下腿筋血流量において若干の増加を認めた。以上のことから、通常歩行速度で歩行中の心疾患患者において、心拍-運動リズム間の同期現象の発生は、活動筋への血流量および酸素供給に貢献していると考えられたが、効果量は少なく、サンプル数も不足しているため統計学的検討は実施できていない。 また、心拍-運動リズム間の同期現象の生理学的意義と発生機序を解明することを目的に、若年健常者16名を対象に心拍-運動リズム間の同期現象の発生度合いと関連する対象者特性を調査した。その結果、対象者の運動耐容能と運動時の心臓ポンプ機能が同期現象の発生度合いと負の関連を示していることが確認された。このことは、心拍-運動リズム間の同期現象は、運動耐容能や運動中の心臓ポンプ機能が低い対象者で発生しやすいことを示唆している。 次年度は、引き続き心疾患患者における心拍-運動リズム間の同期現象を誘発した際の生体反応を確認することと同時に、心疾患患者における同期現象の発生度合いと関連する対象者特性を調査する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の対象である心疾患患者のリクルート状況が悪く、対象者数が確保できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究は、①心疾患患者における心拍-運動リズム間の同期現象の生理学的反応、②心拍-運動リズム間の同期現象の発生と心臓ポンプ機能の関連性の2つを検証する方向で進める。 ①に関して、現在、運動療法として応用した際の即時効果を検証しているが、対象者である心疾患患者のリクルート状況が思わしくなく検証が不十分である。次年度では引き続き心疾患患者のリクルートを実施し、心疾患患者において心拍-運動リズム間の同期現象の発生がどのような生理学的反応を示すかを明らかにする。 ②に関して、今年度、若年健常者において心拍-運動リズム間の同期現象の発生度合いが、対象者の運動耐容能と運動時心臓ポンプ機能に関連していることを明らかにした。このことから、運動耐容能低下や心臓ポンプ機能低下が心拍-運動リズム間の同期現象の発生に影響を与えることが推測された。上記の関連性を明らかにするため、心疾患患者における心拍-運動リズム間の同期現象の発生度合いと関連する対象者特性を調査する。更に、コントロール群を設け、若年者、コントロール群(中年者)、心疾患群の3群で同期現象の発生度合いを比較し、心機能の低下が同期現象の発生に関与しているかを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在、対象者のリクルートに難渋し、研究スケジュールが遅れている。そのため、対象者のデータ測定にかかる費用、論文執筆後の校閲にかかる費用、論文投稿時にかかる費用が未使用額として残っている。 次年度は、心疾患患者のデータ測定用の費用、コントロール群のデータ測定用の費用、論文校閲費用、論文投稿時にかかる費用、および消耗品の購入費用として助成金を使用させていただく予定である。
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