研究課題/領域番号 |
24650314
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
奥野 弘嗣 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30531587)
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キーワード | 視覚再建 / 光覚 / シミュレーション / 画像処理 |
研究概要 |
本研究は,電気刺激によって惹起される光覚の実時間シミュレータを開発し,限られた入力数で脳に効率よく視覚情報を伝達する方法を検討することを目的としている.本年度は,「実時間光覚シミュレータの開発」を行った. 本年度は,昨年度の研究で確立した光覚シミュレーション用アルゴリズムの,小型ハードウェアへの実装を行った.脳を刺激する電極の数は限られているため,惹起される光覚の数も少数に限られる.少数の光覚によって被験者に周囲の環境を伝えるためには,刺激する電極の選択が重要となる.この選択には,高度な画像処理が求められるため,効率よく画像処理を行えるアーキテクチャが必要となる.本研究では,アナログ回路(特定の空間処理を効率よく並列に行うことができる)とディジタル回路(柔軟に変更可能なプログラムを作ることができる)双方の利点を生かすことにより,小型ハードウェアでのリアルタイム画像処理を実現した. 作成した小型光覚シミュレータのフロントエンドは,抵抗回路網を備えたCMOSイメージセンサであるシリコン網膜であり,画像の取得と同時に平滑化並びに輪郭強調を行う.シリコン網膜から出力される輪郭強調信号を利用して,後段のFPGA(field programmable gate array、プログラム可能なディジタル回路)とARMマイコンを搭載したボードコンピュータが模擬光覚画像を生成する.生成された模擬光覚画像は,HMD(head mounted display)に提示される.軽量かつバッテリーで駆動するため,このシミュレータを身に着けたまま歩行することも可能である.このため,様々な環境でのシミュレーションが可能である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に掲げていた,「実時間光覚シミュレータの開発」が完了しているため,概ね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究で開発した小型実時間光覚シミュレータを用いて,様々な場面でパラメータを変化させながら心理物理実験を行うことにより,人工視覚システムの要件を探る.変化させるパラメータとしては,電極数や,電極間隔,同時刺激電極数,光覚サイズ,光覚形状,光覚持続時間等が考えられる.
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次年度の研究費の使用計画 |
必要な物品が想定よりも安く購入できたため. シミュレータ改良用の部品費や,研究成果発表用の旅費として使用する.
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