研究課題/領域番号 |
24650316
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
新小田 幸一 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (70335644)
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研究分担者 |
阿南 雅也 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (10517080)
新小田 春美 九州大学, 医学研究院, 准教授 (70187558)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 睡眠 / 高齢者 / バランス |
研究概要 |
平成24年度のまず第一段階として行った若年者を被験者とした調査・実験から,日本語版ESS(Epworth Sleepiness Scale)は,睡眠合計時間,全睡眠時間,平均睡眠時間,最長睡眠時間との間に有意な負の相関を認めた.その一方で,バランス機能との間には相関を認めなかった. 第二段階での高齢者を被験者とした研究で,高齢者は睡眠時間が短かくなると,身体機能,バランス機能および注意力が影響を受けることを示唆する結果が得られた.特に,睡眠時間の不足する高齢者は握力,膝伸展力に代表される筋力が低く,より高い姿勢制御が必要とされるTimed Up and Go testのほか,最大一歩幅や比較的簡単な動作課題であるFunctional Reach Testの成績も低かった.これらのことから,適切な睡眠時間のとれていない高齢者は,注意力との関連も含め,簡単な動作でもバランスを崩し易くなることが推察された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アクティグラフを用いた高齢者の睡眠計測と各種の動作課題の計測により,睡眠のもたらす特徴として,短い睡眠時間は注意力や筋力を低下させ,急な動作や環境変化に対する適切な反応がとれず,バランスを崩して思いがけない転倒事故に至る可能性を示すことはできた.しかし途中で床反力計に不具合が発生していることが判明し,筋電情報を含めたより深い生体力学的解析がなし得なかった. また,アクティグラフは,睡眠の深さまでは測定できないため,平成25年度はこの点を踏まえた研究計画が求められた.
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今後の研究の推進方策 |
前半は,睡眠・覚醒リズムに影響を与える得る生活環境,生活スタイル,食生活,生活習慣(早寝・早起きなど),日常活動(趣味や余暇等)の各情報を予め面接時に聴取し,検討する.さらに地域居住の高齢者を被験者とした本実験として,日常的な動作課題の生体力学的特徴,身体機能・能力の測定,認知に関する評価を行う. 後半は,本実験のデータ解析・分析を行って,アクティグラフによる睡眠・覚醒リズムと身体活動度,日本語版ESSの評価結果との関連性を検討し,その結果を基に,高齢者を「健やかな生き甲斐生活」に導く「ほどよい運動」と「ほどよい睡眠・覚醒リズム」を提案する.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究グループ内でのデータ供覧を,報告会に合わせて行ったこと等による平成24年度の残額は,平成25年度での学会その他での情報収集活動に活用する.また被験者謝金とデータ処理に関わる人件費を確保し,積極的な研究成果発表など,計画的な補助金の運用を図る.
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