地域に居住している高齢者12人(男性3人,女性9人,このうち介護保険適応は要支援1が4人,要支援2が5人)の被験者に対し,連続2週間にわたり腕時計型アクチグラフを装着して,睡眠の状況を観察した.最初の1週間は,被験者はそれまでと同様の生活パターンで毎日を過ごし,後半の1週間は起床後に布団,あるいはベッドまわりで行う約15分の軽い四肢体幹のストレッチを主体とする体操を実施した.1週目最終日と2週目最終日には,身体機能の評価を行い,睡眠にもたらす体操の影響と合わせて比較した. その結果,Timed Up and Go test(TUG),Functional Reach Test (FRT)等の身体機能には,1週目と2週目で差を認めなかった.一方,睡眠においては,睡眠中の睡眠合計時間と全睡眠時間は2週目が有意に短かった.さらに覚醒エピソード数と睡眠エピソード数は2週目の方が少ない傾向を示した.これらのことより,起床直後に高齢者が行う軽い体操は,身体機能を大きく変化させることはないが,スムーズな1日の活動開始をもたらし,その後の1日の運動・動作,活動へ繋げ,適切な睡眠の量と質へと導く望ましい影響を与える可能性が示唆された.
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