研究課題/領域番号 |
24650317
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
細田 里南 高知大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (10626138)
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研究分担者 |
石田 健司 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (10274367)
足立 あかね(奥宮あかね) 高知大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (70626142)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脊髄損傷 / 歩容改善 / フィードバック |
研究概要 |
脊髄損傷患者の歩行再建手段として、損傷部位以下の運動機能の代償では機能的電気刺激法や下肢道具装着下に吊り下げ式トレッドミル歩行訓練法、また歩行ロボットなどが手段として行われている。本研究では、前述した方法では代償できない足底からの感覚情報、特に歩行時の踵接地~足尖離地までの両足底圧推移を感覚健常部位に投影させ、失った感覚求心路情報の代償として利用するリハビリテーション手技を構築するのが目的である。また、足底からの感覚入力をリアルタイムで健常部位に投影できることが本研究の特徴である。 本機器は、実際の足底圧をセンサーで受信し、それを電気信号として他の部位に投影できる装置となっている。感覚脱失部位に入力される刺激をどのような刺激で健常部位に投影させるかが当初の課題であった。温熱刺激や音刺激なども候補に挙がっていたが、患者さんへの安全性を最重視したうえで、足底で感じる刺激の軌跡を再現でき、なおかつ機器作成をするにあたって可能な方法を試行錯誤した結果、電気刺激による健常部位への投影を選択した。また、正常歩行では足底の接地順序が踵から足底の外側から母趾の方向へ爪先に向かって推移していくため、その軌跡を描くよう足型パッドに足底圧センサーを取り付けた。これによって、リアルタイムに足底圧の推移の軌跡として健常部位で感じることができる。どのように歩行をすれば、正常歩行に近い足底圧の軌跡を描けるかを学習することで、歩容改善につながることが予想され、対象は脊髄損傷患者に限らず足底の感覚障害のある症例に対しても応用できると考える。 今後は、足底圧センサーと健常部位での刺激電極の配置間隔と数を検討しつつ、健常部位のどの部分に電気刺激を送るかが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年9月頃より実際の機器作成を開始し、刺激電極の数や刺激強度、感度および刺激センサーの種類などを数回にわたってエンジニアとともに検討した。その結果、12月に機器の試作品第一弾が完成し、実際にシュミレーションを行うなどして微調整を繰り返し行った。今後の検討事項としては、刺激の感度と刺激電極の数、電極の種類、配置間隔であり、この点については、実際の症例で検証しつつ調整を行う可能性が高く、調整幅の猶予を残して作成した。
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今後の研究の推進方策 |
所属施設の倫理委員会の承認を受けたうえで、実際の脊髄損傷症例に本開発機器を使用して、投影部位の決定とともに刺激の感度と刺激電極の数、電極の種類、配置間隔を検討していく。 そのためには、脊髄損傷患者に歩行をさせる環境を整える必要がある。歩行補助具としては所属施設に既存の吊り下げ型歩行器を使用するが、長下肢装具については新たに作成する必要があり、作成費用として現時点では600,000円程度を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
症例に使用する長下肢装具が必要であり、作成費用として現時点では600,000円程度を予定している。また、症例への謝礼金が必要であり、実際の金額においては研究過程で協力を依頼する回数が未定であるため不明確ではあるが、現時点では合計約100,000円を検討している。
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