本研究は平成24年度からの3年計画であり、学内倫理委員会の承認(23038号)を得ている。経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を用いてpre-conditioningを行い、運動想起(Motor Imagery)と軽度の随意収縮が脊髄前角細胞の興奮性に及ぼす影響を尺骨神経刺激で第1背側骨間筋(FDI)から導出したF波を用いて検討する。運動想起は「筋収縮を伴わないが筋収縮を最大に行った状態を想起する」としNegative motor imagery (n-MI)は「筋収縮を伴わなず、動かさないことを想起する」としている。実験は3段階の実験で構成され、実験i)はSham tDCSとして、tDCSを施行しない状態で、安静時、n-MI、運動想起、続いてtransducerを用いて定量的に段階的な被検筋の随意収縮を行う一連のMotor taskを行い、それぞれの条件下で尺骨神経を手関節部で刺激してFDIから導出されるF波を記録する。実験ii)はanodal tDCSでPre-conditioningを,実験iii)はcathodal tDCSでPre-conditioningを行い、Motor taskのそれぞれの条件下で得られたF波を検討する。平成24年度は、tDCS刺激装置を設置し、予備実験で検討した結果、 Motor taskは安静時、n-MI、運動想起、続いてMVC10%の被検筋の随意収縮を行うことにした。平成25年度はtDCSの強度を1mA、15分とし、7名の被験者で実験ii)とiii)を同一被験者で実施した。平成26年度は、筋電計(Clavis)を用いて筋収縮をモニタリングし、脳神経支配筋の運動想起と随意収縮がFDIのF波に及ぼす影響を検討した。得られた結果を2015年2月にAmerican Society of Clinical Neurophysiologyで発表した。
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