研究課題/領域番号 |
24650326
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
和田 佳郎 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80240810)
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研究分担者 |
山中 敏彰 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (90271204)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 人工感覚器 / リハビリテーション / めまい / 平衡障害 / 耳石器 / 傾斜感覚 |
研究概要 |
従来の重力情報を舌へ電気刺激する方法(BBD)に代わる人工耳石器装置として、重力情報を皮膚表面へ振動刺激する傾斜感覚適正化装置(Tilt Perception Adjustment Device, TPAD)を考案し、頭部傾斜センサー、A/D変換器、PC、傾斜信号を振動刺激に変換するプログラム、アンプ、2つの振動子によって構成するプロトタイプを作製した。 健常人85名を対象に、TPADプロトタイプを用いて、顔面、頸部、肩、上腕26ヶ所の皮膚表面における自覚的振動刺激感受性を測定し、最も感受性の高い口角部を刺激部位とすることに決定した。 22名の健常人を対象に、TPADの効果を検証した。実験は、頭部傾斜センサーを頭頂部、2つの振動子を左右の口角部に固定し、頭部が左/右へ傾斜すると左/右の口角部に傾斜角度に応じて振動刺激を与えるようTPADを設定した。TPAD装着前(pre)、TPADを装着しながら20分間足踏み、歩行、頭部傾斜、階段昇降などの行動をさせた後(in)、TPADを外した直後(post1)、TPADを外して30分間以上経過した後(post2)の4回、立位及び座位にて頭部傾斜感覚Gainを測定した。preでの頭部傾斜感覚Gainの大きい側と小さい側に分けて見ると、inでは頭部傾斜感覚Gainの大きい側は有意な変化を示さなかったが、頭部傾斜感覚Gainの小さい側は有意に増強し、左右の頭部傾斜感覚Gainの平均は大きくなり、左右差は小さくなった。以上の効果は、post1、post2においても持続した。 12名の健常人を対象に、BBDを用いて同じ実験を実施したところ、頭部傾斜感覚Gainの左右差減少効果は認められたが、頭部傾斜感覚Gainの増強効果は認められなかった。また、BBDでは口腔内不快感を訴えた被験者を認めたが、TPADでは認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
改良型人工耳石器装置TPADのプロトタイプを作製し、当初平成25年度の予定していた健常人を対象とする効果の検証も実施することが出来た。結果から、安全性や快適性には問題なく、装置装着時のみならず、装置を外した後も頭部傾斜感覚Gainの増強効果や左右差減少効果のが認められ、実用化に向けて大きく前進した。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、高齢者及びめまい・平衡障害者を対象に改良型人工耳石器装置TPADの効果を検証する。結果から、最も効果的で負担の少ないTPADを用いた平衡リハビリテーションを確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
改良型人工耳石器装置TPADの効果を検証する実験に関する装置類、記憶媒体及び被験者謝金、実験補助謝金、さらに成果発表のための旅費に研究費を使用する予定である。
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