研究課題/領域番号 |
24650332
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
原 貴敏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40619889)
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研究分担者 |
渡邉 修 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30256466)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脳卒中 / リハビリテーション / 失語症 / 高次脳機能障害 |
研究実績の概要 |
1.慢性期脳卒中患者に対するrTMS患者と対象とした画像的変化の解析を継続して実施。対象症例は最終的に50人。fMRIを用いた言語賦活野の同定を行い、低頻度rTMS照射部位を同定した。そのrTMS前後にSPECTを撮影し脳血流の変化を捉えた。その画像をSPM5を用いて解析し、言語に関連したブロードマン13領域のROIsとLatelality indexを計算した。健側半球(右半球)LF-rTMS群では、totalSLTAの向上とBA44に有意な相関が認められたが、病側半球(左半球)LF-rTMS群では認めなかった。SLTAの下位項目では、病側半球(左半球)LF-rTMS群でも相関関係を認める脳領域が認められた。健側半球(右半球)LF-rTMS群と病側半球(左半球)LF-rTMS群では、SLTA合計や下位項目を言語関連領域の脳血流変化に違いがあることが証明された。 2.我々の研究グループが実施している失語症患者に対するfNIRSを使用した言語賦活野の同定を実施した。複数症例での実施を行い、多くの患者で有意な言語機能の改善を認める結果となった。 3.脳卒中後Alien hand syndrome(AHS) 患者に対して、低頻度rTMSと集中的リハビリテーションを行った。fNIRSを用いてrTMS前後の脳血流変化を測定し、麻痺側上肢タッピング時にrTMS前後で脳血流の有意な変化とAHS症状の改善を認めた。rTMS前後の脳活動の変化は過去の報告と矛盾しないもので、AHS症例に対しても効果を示す可能性が示唆された。 4.慢性期脳卒中患者に対して我々の研究グループが実施している健側低頻度rTMSと集中的リハビリテーションが注意に及ぼす影響について検証した。症例は32名で入院、退院時にTMT-A・Bを実施。右麻痺(右半球LFS)群と左麻痺(左半球LFS)群で比較したところ、右麻痺群でTMT-Bの有意な改善が認められた(TMT-A、B-Aは有意な改善なし)。左麻痺群では有意な改善を認めなかった。現在詳細な検討を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1については、論文投稿中 またその他の結果についても、詳細な検討を実施中である。 現在学会報告と論文作成を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
1.左右大脳半球の活動に差異により磁気刺激の効果が異なる可能性が示唆される。特にfMRIにて右大脳半球が優位に活動していた場合、右大脳半球の高頻度刺激が有用である可能性について言及している論文もある。そのため今後は、右大脳半球優位に活動が認められた症例おける有効な磁気刺激療法を確立していく必要性が示唆された。 2.今後来年度にfNIRSの詳細な解析を行う予定である。可能であればfMRIとfNIRSの両方の評価を行って行く予定である。 3.対象症例があれば今後も実施していく。 4.詳細な検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
既に投稿した論文以外の結果の学会発表と論文作成を行っていく予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
高次脳機能症例にマッチした磁気刺激コイルの購入も検討する。
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